腸内環境はなぜ大事?便通や免疫、メンタルヘルスまで様々な影響を知ろう

生活習慣・食生活に直結する腸内環境と整腸が重要な理由
誰しも一度は聞いたことがあるであろう「腸内環境」。
腸内と言われてもあまりピンと来ないかもしれませんが、基本的には消化器官全般を指しており、小腸と大腸や大腸を中心とした胃から肛門までの器官の総称と言えますが、多くの場合で小腸と大腸を示すことが多い傾向にあります。
そんな腸内環境と言えば、最初にイメージするのが善玉菌と悪玉菌。
腸内の主要な細菌である善玉菌と悪玉菌、日和見菌の働きについては、過去記事「▼腸内環境を整えるとどうなるの?得られる効果とその方法」で詳しくご紹介しておりますが、多くの人が認識しているとおり、
腸内環境は善玉菌を増やして悪玉菌を減らす
ことが重要であり、もちろん善玉菌が多ければ多いほど良いという訳ではありませんが、腸内環境においては
・善玉菌が多いほど腸内環境は整っている
・悪玉菌が多いほど腸内環境が乱れている
という認識で問題ありません。
腸内環境が乱れている原因については、現代社会においてはどうしても規則正しい生活リズムを確立するのが難しいだけでなく、仕事や育児のストレス、時短重視の偏った食事、疎かになりやすい運動習慣など背景は様々ですが、基本的には生活習慣に密接していると言えます。
普段の生活において、個人差はあっても腸内環境の乱れが生活の質を低下させるほどには至らず、せいぜい便秘でお腹が張る程度の症状かもしれませんので、
腸内環境そのものを日常的に意識する人が少ない
傾向にあるかもしれませんが、腸内環境が悪化することで起こる体への悪影響においては、「▼よく聞く乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌の働きの違いについて」でも取り上げているように、便秘や肌荒れ、免疫低下、高血圧などの生活習慣病だけに留まらず、
大腸がんや大腸炎、糖尿病から脳卒中まで
様々な大きな病気のリスク要因となりますので、腸内環境の改善、整腸は健康維持の観点でも非常に重要であることは言うまでもありません。
この記事では、腸内環境の変化という点にスポットを当て、腸内環境の悪化によって生じる様々な健康リスクのほか、日常生活における悪影響、精神面・メンタルヘルスなどへの影響についても紹介。それど同時に
そもそも腸内環境を整えることの重要性
について改めて理解を深め、日常生活のなかで腸内環境を悪化させないための心がけなどを紹介していきます。
特に加齢によって体の機能が低下する中高年以降は、「食べたいものを食べる」ということが、間接的に生活の質を低下させる可能性もあるため、そうした食生活の観点も踏まえ、腸内環境改善に取り組む手がかりになるかもしれません。
腸内環境が乱れることで生じる様々な不調と大病リスク

冒頭でもお伝えしたように、腸内環境が悪化することで便秘や肌荒れ、様々な体の不調を招く原因となることは説明の余地がありません。そのメカニズムを簡単に説明すると、腸内環境が悪化して悪玉菌が増えることで
・腸の動きが鈍ってぜん動運動が弱まることで便が滞留する
・悪玉菌が生成するアンモニアやアミンなどの有害物質が増える
・有害物質が腸で吸収されて全身に巡ることで肌トラブルにつながる
・新陳代謝も低下して免疫力の低下につながる
・腸の機能が低下することで必要な栄養素が吸収できず慢性疲労
そのほかにも、精神的な不調やストレスの原因になったり、
幸せホルモンであるセロトニンは約9割が腸で作られている
ため、精神状態・メンタルヘルスにも影響を及ぼす可能性があります。つまり腸内環境の悪化によってウツな気分になりやすくなるとも言えるのです。腸内環境の乱れや悪化の症状については、多くの方が便秘を想像されるかもしれませんが、便秘やガス溜まりの症状がなかったとしても
・できものなどの肌荒れ
・慢性的な疲労感や倦怠感、やる気の低下
・風邪をひきやすい、口内炎ができやすい
・口臭や体臭の悪化
・イライラや情緒不安定
・睡眠の質の低下
などもまた、腸内環境悪化の典型的な症状となることは覚えておく必要があります。
特にセロトニンの分泌においては、幸せホルモンであると同時に日中の活動ホルモンでもありますので、セロトニンがうまく分泌されないことで、
睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌にも影響を及ぼし
睡眠の質の低下を招くことになれば、当然日中の活動や生活の質にも悪影響を及ぼすため、そのインパクトは便秘の比ではないのです。
過去記事「▼睡眠障害ってどんな症状?寝れない時の睡眠障害セルフチェック」でもご紹介しているとおり、セロトニンとメラトニンは体内時計のリズムと睡眠の質に大きな影響を及ぼし、
睡眠の質が低下することで集中力や注意力なども低下
し、イライラなど情緒も不安定になりやすくなることを考慮すると、腸内環境の乱れが招く便秘や肌荒れ以上に、生活の質や睡眠の質の低下、日中の活動時間における集中力の低下、免疫低下による感染症などのリスクなど、体への悪影響の度合いは計り知れません。
長期的な腸内環境の乱れを原因とした便秘、その便秘を背景とした大腸がんや潰瘍性大腸炎、肥満などのリスクもありますが、生活の質低下などの症状としては見えにくい大病リスクも隠されているということを理解しておきましょう。
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これまで、腸内環境の悪化による体への悪影響についてご紹介してきましたが、そもそも
どうして腸内環境が悪化してしまうの?
という点については、多くの方が疑問に思う部分かもしれません。
腸内環境の悪化要因は様々ですが、根本部分をおさらいすると
1,腸内環境の悪化とは善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスが崩れること
2,その割合は善玉2:悪玉1:日和見7
3,悪玉菌が増えると、日和見菌も悪玉菌の働きを手助けするようになる
つまり悪玉菌を増やさないことが重要ですが、悪玉菌が増えてしまう主な原因は
・動物性脂肪など高脂肪・高タンパクの食事
・食物繊維・発酵食材の摂取不足
・加工食品や食品添加物の多い食事
・不規則な生活リズムや慢性的な睡眠不足
・喫煙や飲酒、運動不足など生活習慣の悪化
などが挙げられます。
特に食生活においては心当たる人も多いかもしれませんが、肉中心の食事で野菜の摂取が不足すると腸のぜん動運動が低下して便秘になりやすく、言うまでもなく腸内の悪玉菌が増えやすくなります。もちろん野菜と言っても、ごぼうやブロッコリー、アボカドといった食物繊維を豊富に含む食材の摂取が重要となります。
一方、納豆やキムチといった発酵食品においては、これら食品に多く含まれる善玉菌が腸内環境を改善してくれることは、過去記事「▼なぜ発酵食品に多く含まれるの?納豆やキムチに乳酸菌が多い理由」でも紹介したとおりで、これらを習慣的に摂ることで、腸内バランス(腸内フローラ)を整えるのに効果的な食材です。
ちなみに、冒頭で軽く触れましたが、悪玉菌が増えることで生成される主な有害物質は
・アンモニア
言わずと知れた特有の強い刺激臭を持つ無機化合物。腸内粘膜に炎症を起こす。
・硫化水素
強い毒性と腐敗臭の原因となる成分で腸内粘膜を傷つける。
・アミン類
ヒスタミンなど食品を腐敗させる原因物質。
・インドール
排泄物や腐敗したタンパク質などに含まれる有機化合物、高濃度では強烈な悪臭。
・スカトール
インドールとの類似成分で便臭・体臭の原因となる。
などが挙げられ、その内容を見るだけで体に悪影響を及ぼしそうな雰囲気を醸し出しています。つまり、腸内環境を整えるという点では、いかに悪玉菌を増やさないこと、
腸内で有害物質を生成させないことがが重要
で、便秘や便臭の悪化などは、
これら有害物質が増加しているバロメーター
とも言えるのです。
腸内環境の乱れにおいては、単に便秘や肌荒れという目に見える症状だけでなく、慢性的な疲労感や睡眠の質低下、メンタル不調など、様々な体の不調に結びつく可能性があるということを理解し、健康維持という視点では、腸内環境を整えることの重要性について今一度見直してみることをオススメします。