髪にとっても紫外線は大敵~夏のヘアケアとヒートプロテクトの基礎

髪密度の低下と紫外線~夏場のヘアケアとヒートプロテクトの重要性
中高年女性における髪の悩みと言えば薄毛。
個人差こそあれど、50代以降ともなると毛量の減少だけでなく、髪の毛自体が細くなってくることで、結果的に地肌が見えやすくなる傾向にあります。また、髪の毛自体もツヤ感が低下してパサついたり、”うねり”が出やすくなることでまとまりのない髪質に変化したりと、
髪の毛を見るだけで老けて見えてしまう
傾向にありますが、これは加齢によって頭皮の水分や油分が失われるためで、頭皮のエイジングケアが非常に重要である点は、過去記事「▼頭皮や髪も老化する!中高年からのヘアケアはエイジングを重視しよう」でもお伝えしたとおりです。
上記前回記事では、毛髪のエイジングケアにおいてはインナーケアが重要であることを紹介しました。もちろん、日ごろの洗髪やトリートメントなどの保湿も重要ではありますが、中高年以降ともなると髪の毛の土台となる頭皮が劣化するほか
- 女性ホルモンの分泌減少
- 代謝機能の低下による毛髪サイクルの乱れ
- 栄養吸収と毛髪への供給機能の低下
- 毛細血管の老化による血流不足
などの要因が複合的に作用し、髪の毛にハリやコシがなくなり、ツヤ感も失われ、毛量や太さといったボリューム感も失われていきます。つまり、中高年以降の加齢髪に対するヘアケアにおいては
いかに効率よく髪の毛に栄養を届けるか?
という点が重要だということをお伝えしてきましたが、もうひとつ、インナーケアに対するアウターケアとして忘れてはならないのが
薄くなった地肌に対する紫外線対策
で、特に毎年暑さが厳しくなる日本の夏においては、当然紫外線量も増加傾向にあるため、その紫外線が頭皮に与える悪影響についても、しっかりと把握しておくべきではあります。端的にお伝えすれば
- 加齢による毛量減少で地肌が出やすくなる
- 地肌が出やすくなることで紫外線の影響を受けやすくなる
- 毎年紫外線量が増加傾向にある
- 頭皮に受ける紫外線は年々増加してしまう
ということが言えるため、夏の紫外線対策は肌と同じレベルで、頭皮や毛髪にも対策が必要なのです。なお、人体に対する紫外線の悪影響については「▼UV・紫外線」の各記事も参考にしていただければと思いますが、今回の記事では「夏の紫外線ヘアケア」をテーマに
- 紫外線による髪への悪影響の回避
- 夏のヘアケアとヒートプロテクトの基礎
を中心に、日常のヘアケアと熱対策について紹介していきます。
改めて理屈的に考えれば、加齢による機能低下には抗えませんし、毎年厳しさを増す夏の暑さや紫外線量の増加も避けられません。そんな状況でも、自分の髪は自分で守らなければなりませんので、美髪をキープするための「夏の紫外線ヘアケア」の知識をしっかりと身に付けておきましょう。
加齢による頭皮バリア機能の低下ほか髪の主成分ケラチンの破損リスク

まずはじめに、夏は紫外線が強くなることは改めて説明の余地はなく、また紫外線による肌への悪影響もまた、多くの方が認識をお持ちである一方、肌や皮膚に対しては日焼け止めなどの対策が当たり前になっているのに
頭皮に対する紫外線対策はあまり意識がない
というのが実情ではないでしょうか?
もちろん、日傘や帽子などを使われる方は多いかもしれませんが、その多くは頭皮に対する紫外線対策を目的としていないのも実情。また、頭皮は髪の毛で守られているからという意識があるからかもしれませんが、その髪の毛もまた
暑さによって熱ダメージを受ける
ということを認識しておく必要があります。
ちなみに、夏の暑さや紫外線の強さは体感的に分かる部分ではありますが、ここ数年で
どの程度気温が高くなってきているのか?
紫外線量はどれくらい増えているのか?
といった点は、気象庁の公式サイトで公表しているUVインデックスなどを参照いただければ、いかに紫外線量が増えているかは一目瞭然です。
2008年~2025年のUVインデックス推移
https://www.data.jma.go.jp/env/
uvhp/uvimax_monthave_tsu.html
20年前と比較しても、7~8月のUVインデックスは6.5前後から8.0前後まで増加しておりますので、数値的に見ても気温の暑さと共に紫外線の強さも年々厳しさを増しているのがデータからも分かります。当然、人の体のなかで最も高い位置で直射日光を受ける頭皮や毛髪も、その影響を直接受けることになり、
≪紫外線による髪の毛への悪影響≫
- キューティクルが壊れやすくなる
- メラニン色素が分解され褪色を起こす
- ケラチンなどのタンパク質が変性
≪紫外線による髪の毛への悪影響≫
- 頭皮の水分・油分が失われやすくなる
- フケやかゆみが出やすくなる
- 頭皮のターンオーバーが乱れやすくなる
といったことが起こりやすくなります。
当然20代のころと比較して、40~50代ともなると毛量が減ったり、髪が細くなったりで、地肌に直接紫外線を受けやすくなるだけなく、加齢自体が頭皮のターンオーバー機能を低下させているため、そこにさらに強い紫外線の影響を受けることで、
髪の毛を産生する毛母細胞がダメージを受ける
ため、髪や頭皮においては悪影響しかないのです。
その他にも、頭皮には角質層や皮脂膜などによって、紫外線などの外部からの刺激や有害物質から内部を守るバリア機能が備わっていますが、
そのバリア機能も加齢によって機能が低下する
ため、紫外線の悪影響を受けやすくなり、まさに負のスパイラル的に頭皮や毛髪へのダメージが蓄積されやすくなってしまうのです。
まさに、加齢と紫外線がタッグを組んで、頭皮や毛髪をいじめているような構図とも言えるので、体内部のインナーケアはもちろん、紫外線や有害物質などの外部ケア(アウターケアとは別)もまた、美髪をキープするために欠かせない対策と言えるでしょう。
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これらを踏まえ、「日常生活のなかでどのように対策をすれば良いか?」という点について見ていきましょう。
中高年における髪質の変化においては、加齢による様々な変化や機能の低下が影響しているほか、特に夏場においては紫外線の悪影響を受けることで、さらにその機能が低下しやすいということを紹介してきましたので、日常生活のなかでの対策としては
1,インナーケア
・髪の原料となるたんぱく質などを摂り、頭皮や髪の毛に栄養を届ける
・規則正しい生活や睡眠で髪のターンオーバーを促進する。
2,アウターケア
・トリートメントなどによる髪の保湿、ローションによる頭皮の保湿
・適度な運動や頭皮マッサージなどによる血行促進
3,外部刺激ケア
・日傘や帽子などでの紫外線
・毛髪用のUVカットスプレーなどを活用する
といった3軸での対策が効果的と言えるでしょう。
特に夏場においては、紫外線の悪影響だけでなく、暑さのせいで食欲も減退しやすいため栄養不足に陥りがち。夏の栄養不足対策・健康維持については過去記事「▼睡眠・食事?生活習慣から見直す健康維持のための酷暑対策」も参考にしていただければと思いますが、頭皮や髪の毛という点にフォーカスすると
直射日光による熱ダメージの蓄積
という点に留意が必要で、髪の毛に対する熱ダメージが蓄積されることで髪質が変化してしまい、慢性的にツヤがなくなったり、パサつきが目立つようになったりする傾向にあります。もともと、髪の表面を覆っているキューティクルは熱に弱いため、直射日光に限らず
ドライヤーでも損傷や剥がれが生じやすい
という特徴がありますが、キューティクルが剥がれてしまうと、加齢による髪質変化と同様に、髪の柔軟性や艶やかさが失われ、まとまりのない典型的な加齢髪になりやすくなります。また、キューティクルが剥がれて髪の中核組織であるコルテックスが剥き出しになってしまうと、さらに髪は
脆く切れやすくなって薄毛や細毛を進行
させてしまうのです。
頭皮における夏場のヘアケアは「インナー&アウター&紫外線対策」が重要だということがご理解いただけたかと思いますが、紫外線対策においては、仕事中などどうしても帽子が被れる状況でなければUVカットスプレーを活用したり、男性でも日傘を活用したりと、徐々に紫外線の悪影響に対する意識は高まりつつあります。
加齢による髪のボリューム低下や髪質の変化は、ある程度ご自身でも対策が取れる部分でもありますので、中高年のヘアケアに対する正しい知識を身に付け、特に夏場は帽子や日傘でしっかりと紫外線から頭皮を守ることを意識するようにしましょう