四十肩や五十肩の原因と日頃からできるケア・予防法
老化現象のひとつ「四十肩・五十肩」はどんな症状?!
中高年ともなると、身体のいたるところに「ガタ」が来ると言われますが、そのガタの代表的なひとつと言えるのが肩痛。俗に言われる「四十肩」や「五十肩」という症状も、老化現象として広く知られています。
そもそも「四十肩・五十肩」ってなに?
当然、40~50代になっても四十肩や五十肩の症状が出ない人も多くおりますが、四十肩や五十肩というのは、肩の関節が痛くて動きが悪くなる病気で、正式な病名ではありませんが、一般的には
肩関節周囲炎と呼ばれる関節炎による痛み
を指します。
もちろん、痛みが出る動きも痛みの度合いも個人差が大きい症状ではありますが、主に電車のつり革に掴まったり、頭を洗ったり、洗濯物を干したりと、腕を上に上げる動作の際に痛みを伴うのが特徴で、40~50代に多いことからこのような俗称で呼ばれています。
四十肩や五十肩は、老化現象のひとつとして自虐的な笑いのネタとして言われることが多く、あまり深刻な病気として捉えられない傾向にありますが、その背景には、
放置していてもいずれ痛みが和らぐ
という傾向にあり、痛みの発症から概ね1~2ヶ月程度で沈静化することが多いので、多くの方が一時的な痛みを堪えてしまう傾向にありますが、その対処の仕方によっては痛みの発症を繰り返してしまうケースも珍しくなく、
それを繰り返すことによって肩が動かしにくくなる
というリスクがあることを知っておく必要があります。
今回は、この四十肩・五十肩が発症するメカニズムや痛みの対処法などに焦点を当て、四十肩や五十肩の原因、そして四十肩・五十肩にならないための予防法やケア方法についてご紹介していきます。
四十肩や五十肩は関節の炎症ですので、炎症が引けば痛みも和らぐ傾向にありますが、ぎっくり腰などと同様、身体に爆弾を抱えているようなものでもあります。いざ急な痛みに見舞われないためにも、日ごろのケアを意識して根本的に問題を解決できるよう、正しい知識を身につけておきましょう。
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四十肩・五十肩の発生原因と痛みのメカニズム
上記でも触れたように、四十肩や五十肩と呼ばれる症状は、腕を肩より上に上げたときに急な痛みが生じる関節痛で、圧迫されるような鈍痛より、ぎっくり腰のようなピキッとした痛みが急に生じるのが特徴です。これら痛みは
・上着を着ようとした時
・背中のファスナーを閉めようとした時
・ゴルフのスイングをした時
・洗髪をする時
・寝ている時
などに発生することが多く、いすれも腕を上に上げる動作を伴いますので、この痛みが長期化するほど、日常生活にも支障を来たすことになります。
この四十肩・五十肩の原因は未だ明確にされていない
ため、1~2ヶ月で自然と痛みが和らいでしまう人もいれば、年単位で痛みに悩まされてしまう人もおり、根本的な治療も確立されていないのが現実。肩関節周りの筋や筋肉の炎症の場合もあれば、肩関節を包む膜に炎症が起こっている場合など、
その痛みの原因も個人差が大きく
それらを総称して四十肩・五十肩と呼ぶため、対処法についても個人で判断せず、専門医の診断を受けることが最初の一歩となります。肩周りにちょっとした痛みや違和感を覚える人の多くは、
肩や腕をグルグル回して筋肉を動かす
という動作を取りますが、これが逆に症状を悪化させるケースも少なくありません。冒頭でもお伝えしたように、四十肩や五十肩は関節の炎症ですので、基本的に炎症が引くまで安静にしておくことが重要ですが、一方で
加齢や運動不足によって肩の筋肉や腱の柔軟性が低下
することによって炎症が起こりやすくなる傾向もあるため、動かなさすぎも四十肩や五十肩の原因になりうるのです。だからと言って、
痛みがあるなかで積極的に肩を動かすのは逆効果
痛みが治まったタイミングで肩関節を動かすための運動やストレッチを行う必要があり、そのタイミングは素人判断で行うものではなく、必ず専門医の指示に従う必要があります。四十肩・五十肩は、痛みを伴うのはもちろん、痛みが和らいでも
組織の癒着によって肩が動かしづらくなる
という特徴もあり、痛みが治まっても肩の稼動領域が狭くなってしまう場合もありますので、肩の痛みが激しい時や長期化している場合などは、早めに専門医に見てもらうことが肝要です。
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四十肩・五十肩にならないための日常ケアと解消法
四十肩や五十肩の痛みは、ふとしたタイミングで急に見舞われることが多く、男女問わず日常生活のなかで誰しもそのリスクがある症状のひとつです。ある日突然痛みに見舞われた時には、痛みの発症期に入っている可能性があり、徐々に痛みが強まってくることも珍しくありません。
一般的に四十肩・五十肩の痛みは、下記4つの段階で症状が進行し
1、発症期(痛みはじめの時期)
2、炎症期(痛みや炎症がピーク)
3、回復期(痛みが和らぐ時期)
4、沈静期(完全に痛みがなくなる時期)
場合によっては、沈静期まで至らないまま再度炎症期に戻ってしまうケースも少なからずあります。肩周りの筋肉や筋といった組織の柔軟性を高めるためには、沈静期を待ってからストレッチなどを行う必要があり、それまでは無理に肩を動かそうとせず、
痛くない体勢を維持して極力安静にする
ということを忘れないようにしましょう。
このまま痛みが完全になくなる沈静期に入ったら、肩の筋肉を動かすことを意識したストレッチや運動を徐々に行うようにし、入浴などで肩周辺の筋肉などを暖め、
血行を促すことで肩の柔軟性を取り戻す
のが日頃からできるケア方法のひとつ。
日ごろから肩や肩甲骨まわりの筋肉をしっかりと動かしておくことも予防法となります。特に四十肩・五十肩になりやすい人の特徴として
・デスクワークなどで長時間同じ姿勢の方
・慢性的に運動不足の方
・糖尿病など高血糖の方
などが挙げられますので、ご自宅でも簡単にできる「肩を上下に動かす肩すくめ運動」をはじめ、背中をかくイメージで背中に手を回したり、肩をグルグルまわす肩回し運動などを毎日5~10分程度取り入れると良いでしょう。
いずれにせよ、中高年からの肩の痛みは四十肩・五十肩に限らず、
肩関節の軟骨の擦り減りやその他疾病の可能性もある
ため、老化現象だから仕方ないと判断せず、早めに専門医に受診することが大切。日ごろから筋肉の柔軟性を保つための運動は重要ですが、自己判断によってかえって症状を悪化させてしまう可能性もあることから、老化現象などと割り切らず、正しい知識を持って対処するよう心掛けましょう。