尿漏れはなぜ起こる?尿漏れのメカニズムとその原因
恥ずかしくて言えない!実は多くの中高年が悩む「尿漏れ」
白髪や老眼・・・、数ある加齢症状のなかには、外見的な判断では見分けがつかない症状も多数あります。例えば筋力の低下などは最たるもので、見た目的には分からなくても、体が疲れやすくなったり、若い頃はできていたものが出来なくなったりと、体の様々な機能が低下していくのが加齢の特徴とも言えます。
仮に、白髪が増えたり、シミ・しわが増えたりと言った見た目の変化のほか、筋力の低下や体力不足といった点も、ある程度は加齢症状ということで自身でも受け入れやすいかもしれませんが、一方で
コンプレックスとなる加齢症状の代表が「尿漏れ」
尿が近い、尿の回数が多い「頻尿」とはまったく別の症状となりますが、排尿に関する中高年トラブルとしては圧倒的に頻尿や尿漏れが多く、いまや多くの中高年・高齢者で、何らかの排尿トラブルに見舞われている(※)と言われています。
※出典:一般財団法人日本予防医学協会・健康づくり「かわら版」第277 号
https://www.jpm1960.org/kawara/pdf/202212kawaraban.pdf
尿漏れが多くの中高年が抱える一般的な症状とはいえ、
やはり排尿トラブルとなるとセンシティブな話
であり、「あまり人に言えない・相談できない」というのが本音。特に女性においては、男性にくらべて尿道が短いこともあってか、20~30代からでも尿漏れが起こりやすく、
・くしゃみをした時
・ジャンプをした時
・重い荷物を持った時
・子供を抱きかかえた時
といったように、腹部に力が入った時に尿漏れが起こりやすい傾向にあります。
ただ、尿漏れ自体は、関節痛のように日常生活への支障を来すものではないことから、どうしても対応を後回しにしたり、優先度が低めになってしまったりもしますが、
実はそこには大きな病気が潜んでいる?!
かもしれませんので、たかが尿漏れなどと考えず、しっかりと尿漏れの原因や対策、基礎知識を身につけていただきたいところです。
そこで今回は、そんな中高年に多い尿漏れの原因やメカニズムにスポットを当て、尿漏れの種類や、そこに潜んでいる疾病リスクなどをご紹介。もちろん加齢による影響もありますが、
尿を蓄積する膀胱と排尿の関連性
をしっかりと理解して、いつまでも大人用おむつがいらない健やかな日常生活をキープしよう!というのがこの記事の目的でもあります。「尿漏れ」と聞くと、笑いのネタ的な感じで思われている方も少なくありませんが、
尿漏れは意識すれば改善できることも多いので
加齢だけのせいにするのではなく、日常生活や習慣を見直すことが肝要です。
では、早速具体的な部分を見ていきましょう。
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中高年に多い尿の悩み・そのメカニズムと予防対策
尿漏れが起きるメカニズムと原因について詳しく知ろう!
ネガティブなイメージが先行する「尿漏れ」の症状ですが、その定義については
自分の意思に関係なく尿が漏れること
であり、まずは排尿のメカニズムを知る必要があります。
普段の生活においては、尿意を感じたら排尿をするのが当たり前ですが、これらは全て脳からの指示であり、仮に尿を蓄積する膀胱が一杯になれば、尿道を司る尿道括約筋が緩んで排泄されるプロセスまでが脳からの指示によるものです。
小難しいので分かりやすく言い換えると
≪尿意を感じていない時≫
脳から膀胱に「尿を溜めろ」という指示
尿道括約筋には「尿道を緩めるな」という指示
≪尿意を感じている時≫
脳から膀胱に「膀胱を収縮して尿を排泄しろ」という指示
尿道括約筋には「尿道を緩めて尿を排泄しろ」という指示
が出ているのです。
つまり、何かしらの原因で自分の意思に反して膀胱が収縮してしまったり、尿道括約筋の筋力低下によって、尿道が緩んで尿漏れを起こしてしまったりというのが基本的なメカニズム。こうしてみていただくと、
原因は単に加齢や筋力低下だけとは限らない
ということを理解していただけるのではないかと思います。
ちなみに、ひとえに尿漏れといっても下記4つの症状に分類され、それぞれ異なる特徴があります
≪切迫性尿失禁≫
尿意を感じると我慢できず、トイレに行くまでに「ちょい漏れ」を起こしてしまうのがこの切迫性尿失禁。何かしらの原因で膀胱の働きが活発化し、男性の場合だと前立腺肥大症の可能性、女性でも閉経後の骨盤の緩み、加齢による尿道括約筋の機能低下など様々な要因が考えられます。
≪腹圧性尿失禁≫
上記でも軽く触れましたお腹に力が入った時に尿漏れを誘発するのが腹圧性尿失禁。中高年女性に起きやすい尿漏れの多くがこのタイプで、出産や加齢などが主な原因となります。尿道括約筋などを含む骨盤底筋が緩むために起こるほか、肥満もまた腹圧性尿失禁の原因となります。
≪溢流(いつりゅう)性尿失禁≫
こちらは男性に多いタイプの尿漏れで、前立腺肥大などを原因とした排尿障害によって膀胱が一杯となり、その容量を越えることで尿漏れを誘発します。尿が常に膀胱に溜まった状態であることから腎不全を引き起こす可能性もあり、専門医による早めの診断・治療が必要となります。
≪機能性尿失禁≫
機能性尿失禁は、排尿の機能自体には問題がない一方で、体が不自由でトイレに行けなかったり、認知症によって尿意を忘れてしまったり、トイレの場所が分からずに尿漏れを引き起こすタイプ。高齢になるほどそのリスクが高まり、尿意を感じた時にはすでに間に合わずに尿漏れしてしまいます。
単に尿漏れと言っても、
その状態や原因に応じてきちんとした対策や治療を行う必要
があることは言うまでもありません。
上記のとおり尿漏れの主な原因は、加齢による筋肉や神経の衰え、肥満による腹圧の高まり、前立腺肥大による排尿障害などが挙げられますが、なかなか自身で判断できるものではありませんので、恥ずかしがらずに泌尿器科を受診するのが理想です。
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近年の対策は生活習慣の見直しから~尿漏れと前向きに向き合おう
尿漏れにおいては個人差こそあれど、他の加齢症状と同様、
普通に年を重ねるだけで症状が出始めてしまう傾向
にあるため、気付けば尿漏れを起こしているということに気づきにくい側面もあります。例えば、男性に多い「排尿後に尿が数滴漏れて下着を汚してしまう」という少々。多くの男性が少なからず経験しているかもしれませんが、こちらも
筋肉や神経の衰える「排尿後尿滴下」と言われる症状
実は思いのほか尿漏れは身近な存在なのです。
では、どのように尿漏れ対策・予防を行えば良いのでしょうか?
上記でもご紹介のとおり、尿漏れの病的症状以外は加齢による筋力低下が主な要因となるので、基本的にはその筋力をキープすること、つまり
運動習慣を身につけることが対策の基本!
その他、内臓脂肪が増えることによって膀胱が圧迫される腹圧性尿失禁も、基本的には運動不足や食生活を起因とした症状となりますので、運動習慣以外にも生活習慣そのものを見直すことで、尿漏れ原因を未然に抑制することにつながります。
特に女性においては、尿道の長い男性にくらべて尿漏れを起こすリスクが高く、また、出産や加齢などによって尿道括約筋などの
骨盤底筋の働きが低下して尿道を閉じる筋力が弱まりやすい
という点が挙げられますので、骨盤底筋などのインナーマッスルを鍛えることが尿漏れ対策には効果的。女性のポッコリ下腹も、内臓脂肪の増加だけでなく筋力低下による内臓下垂などが原因であり、基本的には尿漏れ原因と同様、
骨盤を覆っている筋肉が衰える
ことで起こりやすくなりますので、骨盤底筋を鍛えて排尿コントロールを強化することを意識することが大切です。
骨盤底筋などのインナーマッスル強化のトレーニングにおいては、過去記事「▼スリムなのに下腹ポッコリ・・・多くの女性が悩む内臓下垂の日常ケア」でもご紹介しておりますが、トレーニング以外で日常的に意識したい尿漏れ対策としては
・減量によって内臓脂肪を減らす
・食物繊維を摂って便秘を改善
・利尿作用の高いお茶やコーヒーを控える
・湯船につかって血行を促進し、しっかり排尿する
・お腹を締めるつけるファッションをしない
などを心掛けるようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
尿漏れ自体は命に直接関わる症状ではなく、恥ずかしさから誰にも相談しにくいといった特徴もありますが、主に生活の質を低下させてしまうれっきとした病気です。
症状を悪化させないためにも、尿漏れとしっかりと向き合って、日々できることから対策していくことを心掛けましょう。
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