中高年からのエイジング腸活~善玉菌を増やして前向きな人生を!

中高年からのエイジング腸活~なぜ腸のエイジングが必要?
個人差はあっても、多くの中高年が実感する腸の不調。
加齢を背景とした体の機能の低下という点では腸の働きも同様で、年齢と共に腸のぜん動運動などが鈍くなることで、嫌でも排便機能が低下してしまうのも事実。これら機能が低下することで便や老廃物が滞留しやすくなり、それによって悪玉菌が増加しやすくなることから、
便通不調以外にも様々な弊害が生じやすくなる
というのが実情なのです。
加齢や老化においては、どうしても白髪やシワなどの見た目の変化や、老眼などの日常生活に支障を来す変化ばかりに意識が行きがちですが、老化による機能低下においては、筋肉や骨格などの劣化のほか、脳や内臓機能の低下といった
体のコアな部分まで影響を及ぼします
ので、見た目部分のケアだけがアンチエイジングではなく、逆に体の内部からのエイジング(インナーケア)を重視することで、結果的に外見部分も若々しさを保てるというアプローチの方が健康的であり、中長期的な取り組みとしては効果的だと考えられます。
そこで今回のテーマは「中高年からのエイジング腸活」。
腸活自体は、これまでも当コラムで幾多も取り上げてきた内容であり、▼腸内環境(腸内フローラ)を整えることで、自律神経が整ったり、免疫が上がったり、睡眠の質が向上したりといったメリットをご紹介してきました。逆に、腸内環境が悪化することで疲れやすくなったりやる気が低下したりといった
中高年特有の慢性疲労的な症状が出やすくなる
という点も、過去記事「▼その疲労は腸内環境のせい?腸内環境の悪化が招く疲労感や倦怠感の関係」でご紹介したとおり。実は、食べ物から栄養を吸収したり、不要となった老廃物を便として排泄するといった「腸の機能も加齢によって機能低下する」といった認識が薄いため、腸に対するエイジングケアを意識する人が非常に少ないのも実情です。
今回は、そんな加齢によって機能が低下する腸の働きについて、
- 機能が低下することによる様々な弊害や体の変化
- エイジング腸活を行うメリット
- 日常生活における具体的な腸活アプローチ
などを中心に詳しく紹介していきます。
特に便秘がちな女性においては、便秘による肌荒れや化粧乗りの悪さだけでなく、髪の毛のハリ・コシの減少、睡眠の質低下。自律神経の乱れなど、これまでそれほど深く意識しなかった便秘においては、中高年以降ともなると体への影響度合いが大きく変わってきます。これまでは何もしなくても現状維持できたものが、中高年以降は
対策を講じなければ機能は低下の一途を辿る
という認識を持って、日常生活や生活習慣の見直しから、腸内環境を改善すべく栄養バランスの取れた食生活、そして適度な運動習慣など、様々なアプローチで腸内環境を整えるべく、中高年ならではの「エイジング腸活」にチャレンジしていきましょう。
加齢による環境悪化は不可避?~腸内の乱れが招く様々な弊害

まずはじめに、腸内環境の悪化による様々な弊害について見ていきましょう。
腸内環境を整える必要性や基礎情報については、過去記事「▼腸内環境を整えるとどうなるの?得られる効果とその方法」で詳しく紹介しておりますので、そちらを参考にしていただければと思いますが、基本的には
善玉菌を増やして悪玉菌の増加を抑制する
ということに尽きます。
もちろん、善玉菌を増やせばよいということではなく、腸内細菌の比率を
善玉菌・悪玉菌・日和見菌=2:1:7
という割合に整えることが肝要ですが、当然「今の腸内の細菌割合は?」ということを適宜数値化できる訳ではありませんので、考え方としては悪玉菌が増えてしまう習慣を改善するといった点を心がけることが大切です。ちなみに悪玉菌が増える要因としては
- 肉など高たんぱく・高脂肪な食生活
- お菓子やスイーツなどのジャンクフード
- 食物繊維や発酵食品の摂取不足
などが挙げられ、それ以外にもストレスよる自律神経の乱れ、慢性的な睡眠不足なども腸のぜん動運動を低下させる傾向にあり、結果的に便秘を招いて悪玉菌が増殖するといった結果を招きます。ここで注目したいのが「腸のぜん動運動の低下」で、食べ物やストレスといった生活習慣の悪化などが要因となるだけでなく、
加齢による機能低下もぜん動運動の低下原因
となるため、言うなれば中高年以降は、
何もしなくても便秘がちとなり悪玉菌が増えやすくなる
ということを留意しておくことが重要です。
さらに言えば、加齢によって胃腸機能が低下することで胃酸や消化液の分泌も減少、ビフィズス菌などの善玉菌が棲みやすいとされる酸性寄りだった腸内も、年齢と共にアルカリ性に傾くことで
善玉菌が減少しやすい腸内環境になる
という点も、加齢によって腸内環境が悪化しやすい原因のひとつとして挙げられます。
腸内環境が乱れる、つまり悪玉菌の働きが優勢になると
- 便秘や下痢、膨満感など腸の不調
- 肌荒れやニキビが出やすくなる
- 免疫低下で風邪や感染症にかかりやすくなる
- 太りやすくなり、生活習慣病リスクが高まる
- 栄養吸収機能が低下して慢性疲労
- 腸で産生されるセロトニンが減少
- 自律神経が乱れて睡眠の質が低下する
個人差こそありますが、上記のような症状がでやすくなったり、上記に付随するような症状(例えば、肌荒れによってストレスが増大するなど)も十分に考えられるので、腸の不調が脳の不調に直結する「脳腸相関」の影響をモロに受けてしまうことになるのです。
特に女性の場合、貧血や便秘といった不調は「日常的で致し方ない」と軽視しがちではありますが、
それらは大きな不調の前兆サイン
と捉え、特に男女問わず習慣的に便秘がちな人は腸内環境の改善を意識し、善玉菌を増やして悪玉菌を優位にさせない環境を整えることを意識するようにしましょう。次項では、そんな善玉菌を増やす具体的なアプローチと、日常生活や食習慣の心がけについて詳しくご紹介いたします。
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鍵は悪玉菌増加の抑制!善玉菌を効率よく増やす日常の意識

この章では、具体的な腸内環境を改善するアプローチについて見ていきましょう。
一般的に多くの方の認識のなかで「善玉菌を増やして悪玉菌を減らす」ということはお分かりいただけておりますが、善玉菌を増やす方法としては
ヨーグルトやキムチなどの発酵食品を食べる
という直接的なアプローチをイメージしやすい傾向にあります。一方、
悪玉菌を減らすアプローチは?
と聞かれると、意外と具体的にどうしたら良いのかイメージが沸かないのが本音。
中高年以降ともなると、嫌でも悪玉菌が増えやすくなりますので、悪玉菌を減らすというより、
悪玉菌の増加を抑制する
といったアプローチで、対策を講じていくことになります。
具体的には、
1,善玉菌を増やす
こちらは上記でもお伝えしたように、ヨーグルトやキムチ、納豆などの発酵食品を多く取ることで、ビフィズス菌や乳酸菌をはじめとする善玉菌を増やすことで、悪玉菌の増加を抑制します。
2,善玉菌のエサを増やす
善玉菌の働きを活性化させるためにも、善玉菌の好物となる食物繊維やオリゴ糖を多く摂ることを意識しましょう。ゴボウやバナナ、海藻や大豆など、容易に摂取できる食材が多いので習慣化もしやすいです。
3,悪玉菌のエサを減らす
肉や脂肪分の多い食べ物を控えるに尽きます。
焼肉や揚げ物のほか添加物の多い食品、糖質の多い甘いお菓子などの高脂肪食品は、まさに悪玉菌の大好物だと思ってください。
4,便通を整える
大腸に便が長期滞留することで悪玉菌は増える一方になります。
便秘がちな女性は、食物繊維や水分などを多くを摂ってもなかなか排便しにくい傾向にありますが、しっかりと習慣的に運動することで腸のぜん動運動が活発化され、排便が促されるようになります
5,ストレスを軽減する
ストレスや緊張などによって腸の働きが影響を受け、下痢や便秘を引き起こしやすくなります。ストレスの軽減は人それぞれ異なりますが、入浴によって自律神経を整えるのが王道の対策であり、睡眠の質も高まりますので、30分程度の入浴習慣を身に付けるようにしましょう。
なお、冒頭でもお伝えしたように、腸内環境や善玉菌・悪玉菌の割合を「自分自身で捉えることは難しいため」、仮に腸内環境の改善が実感できなかったとしても
その生活習慣を継続することが何より重要
実感が得られないと逆にストレスになってしまうかもしれませんが、例えば「便臭が変わった」とか「お腹の膨満感が引いた」といった兆しがあれば、それは腸内環境が改善されてきている証。便の臭いや質は、腸内環境を見事に反映する「鏡」と言っても過言ではありませので、便質の改善が見られるまではしっかりと継続するよう心がけましょう。