硬い体はケガのもと?年を取っても柔軟さを保つストレッチテクニック
年齢と共に体が硬くなるのはなぜ?
皆さんは「体の硬さ」について意識したことはありますでしょうか?
アスリートが運動前に念入りにストレッチを行うのは、単にウォームアップだけでなく、運動中に思わぬケガをすることを避けるために、筋肉や関節を柔らかくしているのはご存じのとおり。もちろんこれはアスリートだけの話しではなく、皆さんも同様に当てはまることです。
特に40代以降ともなりますと相対的に体の硬さが顕著となり、学生の頃にはできていたようなストレッチができなくなっていたり、普段の生活においても”あぐら”がかきにくくなったり、前屈がしにくくなったりと、硬さを実感する場面が増えてくるのではないかと思います。
では、どうして加齢と共に体が硬くなっていくのでしょうか?
一番の原因としては、やはり運動量の低下のほか、日常的に体を動かさず、筋肉や関節の可動領域が徐々に狭くなっていくこと、そして筋力そのものの低下などが挙げられます。体の柔軟性においては個人差もありますが、特にデスクワークなどで
・慢性的な肩凝りに悩んでいる方の多くは上半身の筋肉
・前屈や開脚、正座や長座がしにくいという方は股関周りの筋肉
が凝り固まっている状態ですので、むやみに全身の筋肉を伸ばすことだけを意識するのではなく、自らの状態にあったストレッチを効率的かつ継続的に行う必要があります。
例えば、急な運動などによってアキレス腱を痛めてしまう中高年の方が多いのですが、メタボ解消を意識して十分なウォームアップやストレッチもせず、急に走り出したり激しい運動をすることで起こりやすく、これも柔軟性が低下した筋肉の典型的な事例です。
体の硬さは筋力の低下、すなわち立ち姿など姿勢の悪化も伴ってきますので
年齢よりも老けて見えてしまう
というデメリットもあります。
体の硬さを原因とデメリットをしっかりと理解して、柔軟性の高いしなやかな筋肉や関節を維持することはもちろん、大きなケガをすることなく健康的な体をキープするようにしましょう。
関節や筋肉の硬さを診断するセルフチェック
上記でも触れましたように、体の硬さにおいては個人差が大きく、全身の筋肉が凝り固まっている人もいれば、上半身だけ、下半身だけ、という方も決して珍しくありません。
自身の体がどの程度硬くなってしまっているのか?
まずはその点を知らないと具体的な対策が取れませんので、まずは自身で簡単にできる体の硬さセルフチェックを部位ごとに試してみましょう。
≪上半身:肩関節の柔軟性チェック≫
1、右腕を肩の上から、左腕を下から背中に回して両手が組めるか?
2、今度は逆に右腕を下から、左腕を肩から背中に回して両手が組めるか?
3、壁に背中をつけ、両手の手のひらを壁につけて肩の方に上げていくことができるか?
1や2は、柔軟性をチェックする代表的なポーズですが、実は中高年ともなると両手がまったく届かない人がほとんど・・・、両手が軽く触れることができる、ないしは数cm離れている程度なら適正な柔軟性であると言えます。3のチェックも肩あたりまで手のひらが上がれば適度な柔軟性をキープしていると言えます。
≪下半身:股関節の柔軟性チェック≫
1、座った状態で両方の足の裏を合わせ、その時に膝が床からどの程度離れているか?
2、両足を揃えて正座や長座ができるかどうか?
3、あぐらをかいた状態で片方の足を持ち、自分の胸の位置まで引き寄せられるか?
1のチェックについては、床と膝との隙間が握りこぶし1個分くらいまでが柔軟性の目安。それ以上の隙間が空くようなら股関節が硬い状態であると言えます。また、正座については踵とお尻を付けることができるか?、長座については揃えた両足がちゃんと床に付いているかをチェックしてみてください。その他にも、
・立った状態で前屈をして手のひらが床に付くか?
・両ひざを閉じたまましゃがみこんで踵が浮かないか?
といったようなふくらはぎの柔軟性に特化したチェック方法もありますので、自身の硬さの状態を把握するためにも、色々なセルフチェックを試してみると良いでしょう。
▼関連記事
ストレスは万病の元?!毎日続けるお手軽簡単ストレッチ
20代の頃の柔らかさを取り戻す柔軟ストレッチ
これまでご紹介したように、体の柔軟性においては普段の生活に大きく影響してくるものであり、柔軟性に乏しい筋肉や関節は、個人差はあれど
・転んだりでケガをしやすくなる
・正しい姿勢がキープできなくなる
・腰や膝に負担が掛かる
・疲れやすく、また疲れが取れにくい
といった悪影響を及ぼす可能性すらあります。
そこでご紹介したいのが、自宅で簡単にできる部位別ストレッチです。もちろん、体の柔らかさは一朝一夕で成しうるものではありませんので、
中長期的な継続が大切
が何より重要となりますが、痛みを伴うハードなストレッチは継続するのが困難となってしまいますので、痛気持ちいい程度のストレッチを毎日定期的に行うよう心掛けましょう。
まず、肩関節を中心とした上半身のストレッチをご紹介します。
肩関節は、肩から肘に伸びる上腕骨のほか、胸骨と肩甲骨を結ぶ鎖骨、背中の肩甲骨と主に3つの骨で構成され、それぞれの関節で繋がっています。それらを積極的に動かすよう、肩関節周辺の筋肉も柔軟性をキープします。
≪肩関節まわりの代表的なストレッチ≫
・両手を後頭部で組み、右手で左腕の肘を掴んで右手の方に引き寄せる(逆も同様)
・体育座りの状態から両手で足の裏を掴み、手はそのままで徐々に足を前に伸ばしていく
・椅子に座った状態でテーブルの上に両肘を立て、椅子を引きながら頭をテーブルの下に下げる
その他にも様々なストレッチがありますが、上半身のストレッチにせよ下半身にせよ、
ストレッチを行うタイミングは入浴後がベスト
血流が促進して筋肉や関節が一番柔らかい状態で行うことで、ケガをすることなく筋肉や関節の稼働領域を徐々に広げることができるようになります。ただし、痛みを伴う無理なストレッチは、筋肉が無意識に縮まろうとするため逆効果となってしまいます。
≪股関節まわりの代表的なストレッチ≫
・床に座った状態で両足をできる限り開き、胸を床方向に倒していく。
・床に座った状態で両足の足の裏を合わせ、膝を床に付くよう両手で押し下げる。
・四つん這いの姿勢から左足を前に、右足は後ろに伸ばしてその状態をキープ。
ストレッチを行う際は、息を止めず
ゆっくりと吐きながら伸ばしたい方向に体を倒していくのがポイント
で、痛みを感じたらそれ以上無理をしないことが重要です。ストレッチは、数日行っただけでは大きな変化は見られませんので、1日30分程度のストレッチを中長期的に行えるよう習慣化させると良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?
自宅でできるストレッチは、体の柔軟さをキープするだけでなく、ストレス解消や冷え性における血行促進などにも効果がありますので、積極的にチャレンジしてみましょう!
▼関連記事
手っ取り早く血行促進!オフィスでできる冷え性対策