近年指摘されているブルーライトの影響と睡眠の関係
1日3時間以上は何らかの画面を見ている?!
目の健康やアイケアに関心のある方なら一度は聞いたことがある「ブルーライト」。パソコンのモニターやスマホ画面から発せられているといわれるブルーライトが、目の疲れや視力を低下を招くなどの諸説ありますが、いずれにせよ目に何らかの負担を掛けているのは事実です。
実際のところ、視力に対して及ぼす影響はまだ明確に分かっていないようですが、現代社会においては、平均すると1日3時間以上は何らかのモニターや画面を見ているのが一般的。スマホや携帯ゲーム機などの画面を見ているのが当たり前という環境ですので、毎日のように目の筋肉を酷使している状況です。
一方このブルーライトは、体内時計を狂わせて良質な睡眠を妨げることが各種研究によって明らかになっています。寝る前にパソコンやスマホを見るのは睡眠にとってよくない、と言われているゆえんは、このブルーライトの影響であり、睡眠時間は十分なはずなのに朝スッキリと目覚めることができないという方は、就寝前の行動をいま一度見直してみると良いかもしれません。
体内時計を狂わすというこのブルーライトと良質な睡眠の関係について、詳しく見ていきましょう
そもそもブルーライトってなに?
そもそも「ブルーライト」とは、可視光線の中でも波長が最も短くエネルギーの強い青色光のことです。太陽光にも含まれていて、波長としては紫外線に最も近く、散乱するという性質があります。空が青く見えるのはこのブルーライトが散乱しているからなんです。
日頃から目にしているこのブルーライト。太陽から発せられているブルーライトの量は、パソコンやスマホの画面から発せられる量の比ではありませんが、自然界のなかでは、この光を至近距離で見ることはないため、目や身体に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
一方でパソコンやスマホ画面から発せられる人工のブルーライトにおいては、太陽光ほどの強さはありませんが、至近距離で長時間直視するため、目への影響が大きくなる傾向にあります。ただし、人工のブルーライト自体が視力の低下などを招くわけではなく、目のピント調節機能の負担増になったり、画面に集中することによる”まばたき”の減少やドライアイなど、疲れ目の原因などが指摘されています。
また冒頭でも触れたように、このブルーライトは体内時計(サーカディアンリズム)をコントロールするうえで重要な役割を果たしています。過去記事▼「睡眠は時間よりも質が重要と言われる要因は?」でも取り上げていますが、良質な睡眠を取るうえで、ブルーライトが様々な影響を及ぼしますので、その点もしっかりと理解しておく必要があります。
ブルーライトが睡眠の質に影響を与えるわけ
実際にブルーライトがどのように睡眠の質に左右するかを見てみましょう!
太陽光に含まれるブルーライトを浴びたという情報を得た脳は、その時間帯に関係なく「目覚めなければ!」と、脳を覚醒させてしまいます。もちろん、朝に見る分には一向に構わないのですが、就寝前にそのような覚醒状態になってしまうと、眠れなくなったり、仮に眠れたとしても質の高い睡眠は取りにくくなります。
本来、太陽光に多く含まれるブルーライトを日中に浴びることで、脳は昼間であることを認識し、日中に積極的に活動して、夜は眠くなるという体内リズムを作りますが、夜になってもブルーライトを浴び続けることによって体内時計が狂い、眠くなると分泌される睡眠ホルモン「メラトニン」が抑制され、目が冴えてしまうという構図です。
つまり、就寝前にパソコンやスマホの画面を長時間見続けると、ブルーライトの影響から脳が日中と勘違いをしてしまい、体内時計のリズムが崩れ、良質な睡眠の妨げになってしまう可能性があるということです。睡眠不足がもたらす様々な悪影響については、▼「肥満の原因?!慢性的な睡眠不足と生活習慣病」でもご紹介していますので、合わせて参考にするようにしましょう。
近年、様々な箇所で用いられているLED照明などもからも発せられているブルーライト。
もちろん、ブルーライトを浴びずに生活することは困難ですので、逆にブルーライトと上手に付き合っていくことを心がけるのが肝要です。
上記のように、就寝前にたくさんのブルーライトを浴びることのないよう、就寝2~3時間前までには液晶モニターを見ないようにしたり、寝室の照明を温かみのあるオレンジ系の電球にしたり、ブルーライトによる影響を和らげるとされるルテインなどを多く含んだニンジンやホウレン草、ブロッコリーなどの食品を多く摂るなど、様々な工夫で上手にブルーライトと付き合って行くようにしましょう。