中年太りには理由がある!更年期女性における正しい体重管理

中年太りには理由がある!更年期女性における正しい体重管理

エストロゲン&筋量減少のWパンチ~嫌でも脂肪が増える更年期メカニズム

男女問わず、30代後半ともなると気になってくるのが中年太り。

中年太りとは、加齢に伴う基礎代謝の低下やホルモンバランスの変化によって、脂肪がつきやすくなる状態を指し、男性では内臓脂肪が、女性では皮下脂肪がつきやすくなる傾向にあります。また女性においては、50代前後以降の更年期に向けて内臓脂肪も蓄えやすくなりますので、50代以降は男性より女性の方が、体型変化が顕著となることも珍しくありません。

でも、どうして年を取ると基礎代謝が低下するの?

という点については、当コラムを定期的にご覧になられている方なら承知のとおりですが、基本的には加齢による筋肉量の減少による基礎代謝の低下が大きく、それ以外にも体のあらゆる器官で機能が低下し活動量が減少することで

体全体が省エネモードになる

ことが主な要因となることは、過去記事「▼軽視厳禁!加齢による筋量減少と骨密度低下のケアと対策」でもご紹介したとおりです。もちろん、基礎代謝が低下するぶん、日々摂取する食事やカロリーも抑えられれば良いのですが、

そもそも加齢によって筋肉量が減少した自覚がない

ということもあり、20~30代のころと同じ内容や量の食事を摂り続けることで、徐々に脂肪が増えてくるというのが、中年太りの基本プロセスになります。なお、加齢に伴う筋肉量の減少においては、単に年取ったから筋量が減少するのではなく

1,男性ホルモンの減少(主に男性の場合)
テストステロンの減少により筋量減少&脂肪増加

2,女性ホルモンの減少(主に女性の場合)
▼エストロゲンが急減することで脂肪燃焼効率が落ちる

3,自律神経系の機能低下
交感神経による熱産生能力が低下~平均体温が下がり代謝能力も低下

4,活動量の低下
そもそも論として20~30代より活動量が減少する

といった点も筋量減少要因となり、結果的に脂肪が増えやすくなる原因となります。
特に30代以降の女性においては、男性のようなポッコリ腹の中年太り(内臓脂肪タイプ)ではなく皮下脂肪が増える傾向にありますが、これはエストロゲンの働きによって

脂肪を内臓ではなく皮膚下に優先的に蓄える仕組み

を持っているからで、元々妊娠や出産に適した体の構造を持っているからです。
ところが、50代以降になりエストロゲンが急減すると、その構造的な機能が失われるため内臓脂肪も増えてくることになり、筋量の減少も併せて体脂肪率が一気に高まるというのが基本的なメカニズムです。

では、どうすれば中高年以降も健康的な体型を維持できるのか?

もちろん、言うまでもなく食事の質改善と運動習慣ということになりますが、やはり食事も運動も基本的な知識がないと「やってるのに効果が出ない」ということになりかねません。

  • どのように食事の量や質を管理するか?
  • どの程度の強度の運動を習慣化するか?

それらを踏まえることで、はじめて体重の管理ができるようになるのです。
今回の記事では、そんな中高年女性における体重管理の基本と、具体的な日常生活への取り入れ方についてご紹介していきます。

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鍵は基礎代謝~40代以降のストレス世代の体重増は生活習慣の乱れ?

40代以降のストレス世代の体重増は生活習慣の乱れ?

前段のとおり、更年期によるエストロゲン急減の兼ね合いもありますので、30代後半~40代の俗に言う「中年世代」と、50代以降の更年期世代で切り分ける必要があるかもしれませんが、30代後半~40代にかけては俗に言う「中年太り」、女性の場合は皮下脂肪が増える傾向にあることはご説明したとおりです。

もちろん個人差こそありますが、NIH(米国国立衛生研究所)による筋量変化データによりますと、

女性の筋量は30代後半から毎年0.5〜1%減少

※出典:NIH(米国国立衛生研究所)Muscle tissue changes with aging – PMC
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2804956/

という結果が示されており、元々の体重や筋量にもよりますが、

40代10年間でおおよそ1〜2kg程度の筋量が失われる

ことになります。

男女共に、特に40代は最も活動的である一方、最もストレスやプレッシャーの掛かる世代であり、特に女性は家庭での仕事(家事や子供関連)が多忙を極めるタイミングです。当然食事は疎かとなり、運動をする時間も取りにくいというのが実態ではありますので、ゆえに多くの中年女性が体重増加や体型変化に悩まされることになります。

また、近年では共働き家庭も増えており、「自分自身に掛けられる時間がより一層減少」している傾向にあることから、加齢による筋量減少こそベースにはありますが、40代の体重増は生活習慣の乱れであったり、

生活習慣による影響の方が圧倒的に強い

という点も見逃してはなりません。

分かりやすく40代前後の女性の体重増要因をまとめると、

  • 運動量の低下(家事や仕事で時間が取れない)
  • 食事の質の低下(子供優先で自分は適当に済ます)
  • ストレス・睡眠不足(不規則な生活は食欲増加の原因)
  • 女性ホルモン低下(内臓にも脂肪がつきやすくなる)
  • 加齢による筋量減少(基礎代謝も低下して太りやすく)

このような形で、「何かしら対策しなければ高い確率で太る」ということを認識し、生活習慣や食習慣を見直したうえで、運動の時間を作るなどの工夫が必要です。

そして、50代以降の更年期世代になると体はどのように変化していくでしょうか?

鍵となるのがやはり女性ホルモン・エストロゲン

更年期の認識としては、生理が止まってホルモンバランスが変化することで、体調にも様々な変化が起こる、ということはご承知のとおりですが、エストロゲンの分泌が急激に減少すると

  • 男性同様に脂肪を皮下脂肪ではなく内臓に回す
  • 筋量維持の機能も低下して一気に代謝が落ちる
  • 食欲抑制作用が低下して食欲が増大する
  • 更年期による不調などを背景に活動量が減る

いよいよ本格的に筋量が減少し、筋量が減少することで基礎代謝も低下、さらには男性と同じような体質に変化するため、ポッコリ腹の中年太りが本格化してきます。このエストロゲンの急減による影響はかなりインパクトが大きく、

活動量も減って一気に脂肪が増えて体型も変わる

ということも珍しくありません。

また、更年期障害など不調に見舞われることで活動意欲も低下する傾向にあり、

筋量減少+活動量減少+食欲増大

この状態で「体重を維持できる人はいない」というくらい体の構造が変化してくるだけでなく、こうした状態がますます意欲を低下させ、生活の質も落としかねません。こうなる可能性があるという点を踏まえ、特に40代以降は

  • 活動量を増やして筋量維持を意識する
  • タンパク質やミネラルなどを積極的に摂る
  • 食事の内容や量にも留意
  • できる限り良質な睡眠を多く取る

という点に留意して、まずは健康的な体の維持と生活習慣を取り戻すことが重要です。

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生活構造的にも太りやすく痩せにくい

という点が挙げられますが、とは言え生活環境のせいにしたところで何も改善できませんので、できる範囲で地道に対策を取っていく前向きな姿勢が必要です。

日本の文化的に「ダイエット=体重を落として細くなる」という意識が強い傾向にあり、それ自体を否定するものではありません。もちろん外見や見た目も重要で、個々人の価値観の問題でもありますが、ヘルスケアという観点で40代以降重要なのは

エイジングリテラシーを高めること

年齢と共に体の機能は低下することは避けられませんので、ある意味一定の体重増は許容しつつも、それ以上に日々の食事を楽しんだり、習慣的な運動を楽しんだりと、
▼見た目の対策だけじゃない!中高年からのエイジングリテラシーの重要性」の記事でもご紹介しているように、40代以降は健康的な日々を過ごすという観点を持つことも大切です。

例えば、多くの方が行う「ダイエット」の多くは、食べる量を減らすことに全フリしてしまいがち。若い世代はこれでも良いのかもしれませんが、中高年世代においては

最低限生きるうえで必要なエネルギーすら枯渇する

事にもなりかねませんので、やはり必要な栄養素はしっかりと摂りつつ、徐々に体重を落とし、体脂肪率を下げていくということが必要になります。体重を落とすだけでしたら、「摂取カロリー -(基礎代謝+活動消費カロリー)」のカロリー収支がマイナスになれば良いだけの話ですが、実は

摂取カロリーが同じでも栄養バランスの摂り方で脂肪のつき方が違う

という点はあまり意識されないところではあります。

例えば、仮に同じ300kcal摂取するとしても、それを菓子パンで摂るのか、肉料理で摂るのかとでは、脂肪の付き方は全く異なることは説明の余地がありません。ただし、相対的に甘いものが好きな女性からスイーツを取り上げては

ストレス増大=自律神経の乱れ=体重増要因

ともなりかねませんので、スイーツも食べるタイミングや量を工夫すれば、「食べても太りにくい」食習慣を構築することができるのです。例えば、スイーツの多くは糖質+脂質が多いため、摂取した糖質類を脂肪に変換させないことを念頭に、

スイーツを食べたら直後に有酸素運動を行う

具体的な時間としては15分~30分後を目途に、多少息が上がる程度の強度のウォーキングを行うと、有酸素運動によって糖が消費されやすくなりインスリンの反応も小さくなります。(インスリンについては、「▼糖尿病疑い1100万人!~2024年の国民健康・栄養調査から見えること」を参照ください)

それとは逆に、筋トレなどの無酸素運動を行う場合は

無酸素運動後にスイーツを食べた方が良い

ということになり、運動後にタンパク質を摂取した方が良いのと同じように、筋肉が糖を非常に吸収しやすい状態を活用することで、脂肪がつきにくくなります。このように、食べ方や食べるタイミングひとつで脂肪の付き方が変わってくるのですが、最後に

脂肪になりやすいスイーツの質と種類

という観点で、食べても良さそうなもの、ヤバそうなものを取り上げてみます。
ひとくくりにスイーツと言っても、菓子パンのような高糖質+高脂質の組み合わせのものもあれば、フルーツゼリーのような低脂質&低カロリーなものもありますが、多くの女性が好むのはやはり前者(偏見あるかもしれませんが)

特に小麦系は血糖値がスパイクしやすい

ため、以下のようなスイーツが習慣化している方は、その頻度を早めに減らした方が良いでしょう。

1,デニッシュやメロンパンなどのコンビニ菓子パン
小麦×砂糖のコンボで、スイーツの中でも最強に脂肪になりやすいカテゴリー。

2,ドーナツ
高糖質+高脂質の代表格で、空腹時には絶対避けたい最強カテゴリー。

3,クッキー・ビスケット・タルト類
女性のお茶と言えばタルトがセットですが、タルト生地が血糖値を急上昇。

4,ショートケーキ
生クリーム・バター・砂糖・小麦のフルセット、、、言うまでもありません。

以下は、逆にインパクトが比較的柔らか目なスイーツ

  • シュークリーム(生地が薄いもの)
  • プリン(生クリーム少なめのもの)
  • チョコレート(カカオ70%以上)

このように、スイーツはできれば摂らないに越したことはありませんが、食べる食材の質とタイミング次第では、脂肪をつきにくくすることもできるのです。スイーツに限った話ではありませんが、やはり基礎代謝が低下する中高年以降の

体重維持・体型維持の鍵は食事管理

だという意識を高め、食事の内容・食材の質をしっかりと見極められるような知識を身に付けることが大切です。量ではなく、質を見直して「食べる体重管理」を心がけましょう。

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