物忘れが激しい…中高年から始める認知症予防とは?
笑い話ではない?!加齢症状のひとつ「物忘れ」を詳しく知ろう
普段の生活のなかで、財布やスマホを忘れたり、物を失くしてしまったりすることは誰でもあることですが、中高年以降ともなると、その頻度が明らかに増えたと自覚する人が多くなってきます。
忘れ物が増える、物をどこに置いたのか忘れてしまう、約束事を忘れてしまう、人の名前が出てこない・・・などなど。こうした「物忘れ」の症状は、加齢症状としての認識が薄く、高齢者に多い「認知症」を意味することが多い傾向にありますが、実は
「物忘れ」も認知症の初期症状の可能性があるのです。
一般的に認知症と聞くと、高齢者をイメージして「自分とは無関係だ」と思いがちですが、物忘れ自体が認知症の初期段階の場合もある、と考えると決して他人事では済まされないのが実情かもしれません。
そもそも「物忘れ」は、普段から使用する日常語ではありますので、その言葉からはあまり病的なイメージが結びつきにくい部分があり、物忘れの定義すら考えたことがない方がほとんどではないでしょうか?
中高年以降に自覚する「物忘れ」の多くは
一度覚えた事を思い出すのが困難な状態
を指し、症状的には「ド忘れ(度忘れ)」であることがほとんど。
最近物忘れが激しくって・・・
と口癖のように言うことが増えるのが中高年の定番かもしれませんが、物忘れの定義としては、
物事を記憶しようとしても覚えられない状態
を指し、医学的には「記憶障害」と呼ばれるもの。年齢を重ねるごとに増える傾向にある物忘れとは少々性質の異なるもので、加齢による物忘れと、認知症初期段階の物忘れとは区別して考える必要があります。
そこで今回は、中高年から増える傾向にある物忘れにスポットを当て、
・どうして物忘れが増えるのか?
・認知症の前兆ではないのか?
・物忘れを改善するためにはどうしたら良いのか?
といった不安や疑問について深く掘り下げて見ていきます。
一般的な物忘れは日常生活との関わり合いも深く、ある意味「忘れて当たり前」と感じるくらい普通に起こるため、あまり深刻に捉えることがないのが実情。ただ、一時的なド忘れが、病的認知症の初期段階となる可能性もありますので、特に最近物忘れが多くなってきたと自覚するようであれば、しっかりとその知識と対策を身につけておく必要があります。
今回は、そんな加齢症状のひとつ「物忘れ」について詳しく見ていきましょう。
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そもそも物忘れと認知症の違いは?中高年における若年性認知症
そもそも物忘れと認知症の違いとはどのような点にあるのでしょうか?
上記でも軽く触れましたように、物忘れは「記憶の一部を忘れてしまう」のに対して、病的認知症は「物事を記憶しようとしても覚えられない状態」となり、
覚える(記銘)→維持する(保持)→思い出す(想起)
といった記憶のロジックが正常に機能しなくなってしまう状態を指します。つまり、認知症の症状は記憶障害ということになりますので、皆さんの日常生活のなかで身近に起きる
・スマホどこに置いたっけ?
・暖房のスイッチ消してきたっけ?
・待ち合わせ何時だっけ?
といった物忘れは、単なるド忘れということになり、
自分自身で物事を忘れているという自覚がある
という点で、認知症とは区別できる重要なポイントと言えます。
一方の認知症においては、
自分自身で物事を忘れてしまっている自覚がない
といった点が最大の特徴であり、上記の例で例えると
・そもそもスマホを持っていたことを忘れる
・暖房のスイッチを消そうと考えたこと自体を思い出せない
・人と待ち合わせしていたことすら思い出せない
といったように、記憶のロジックの「覚える(記銘)」の能力が低下、ないしは覚えることができなくなってしまうため、当然日常生活にも支障を来すようになります。よって、中高年以降に増える傾向にある物忘れにおいては、
認知症とはあまり関係がなく記憶ロジックも異なる
と考えて良いのですが、65歳未満で発症した場合に言われる「若年性認知症」のリスクがないわけではないため、若年性認知症の原因や対策、認知症にならないための生活習慣の心がけなどをしっかりと認識しておくことも大切です。
次の章では、60代以降に気を付けたい若年性認知症について詳しくご紹介していきます。
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物忘れと認知症は、似て非なるものだということは理解できましたが、やはり物忘れと言えど、その頻度が多ければ生活に支障を来すことは言うまでもなく、できることなら若い頃の記憶力を維持しておきたいもの。
物忘れの頻度が増えること自体は老化現象のひとつ
ではありますので、老眼や代謝能力の低下と同様に加齢と上手に付き合っていく必要がありますが、認知症においてもやはり
生活習慣や日常のストレスなどと深く関わりがある
と言われておりますので、特に40代後半以降は、認知症対策としての生活習慣の改善を意識しなければならないのは言うまでもありません。
なお、認知症原因においては、脳の神経細胞の機能が低下してしまう神経変性疾患や、脳梗塞や脳出血などが原因で起こる血管性認知症などが挙げられますが、神経変性疾患のなかでもアルツハイマー型認知症がもっとも多い一方、脳の神経細胞の機能が低下する直接的な原因は不明です。
また、若年性認知症は
発症平均年齢が51.3歳で約3割は50歳代未満で発症
出典:厚生労働省「若年性認知症」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/guidebook_1.pdf
ということを考えると、若年性認知症の数自体は少ないものの
40代後半からは少なからずリスクがある
と考えるべきであり、特に脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などが原因で起こる血管性認知症においては、生活習慣病とも深く関わりがあるので、必然的に
飲酒や喫煙、高血圧といった生活習慣の見直し
が重要になってくることは言うまでもありません。
中高年から始める認知症予防という観点では、脳卒中といった血管性認知症を回避すべく
・食生活の改善
・十分な睡眠
・ストレス解消
・適度な運動習慣
が非常に重要となってくることが明らかであり、まだまだ働き盛りの40代後半や50代での若年性認知症は、本人だけでなく家族などへの影響も非常に大きいという点を留意しておく必要があります。ただの物忘れから認知症に進行することはなかったとしても、生活習慣の乱れが脳血管疾患につながり、
結果的に血管性認知症を引き起こす
というリスクもありますので、やはり40代以降における生活習慣の見直し、適度な運動習慣の重要性を改めて見直すきっかけになるのではないでしょうか?
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