階段が恐ろしい…特に下りで痛みが出やすい膝の状態と改善方法
駅の階段・下り坂で膝に痛みが出たり足がガクガクする原因
日常生活において、健康のためにウォーキングを運動習慣に取り入れている方も多いかと思いますが、そんな健康のための有酸素運動につきものなのが膝の痛み。
特に、それまで十分な運動をしてこなかった人ほど、急な運動によって膝を痛めてしまうことが多い傾向にありますが、そんな痛みを堪えつつ、無理に運動を続けてしまうことによって起こる「半月板損傷」や「変形性膝関節症」は、
中高年の典型的な加齢症状のひとつ
でもあることは、過去記事「▼高齢者の3割超が膝痛に悩み!加齢と膝痛との因果関係」でもご紹介したとおり。普段の生活を送るうえで当たり前のように行う「歩く」という行動そのものが、痛みによって不自由さを強いられることになってしまうため、特に40代以降は
膝関節の保護・機能の維持
という点を意識して、「無理せずとも日常的に足を鍛える」ということを頭の片隅に置いておく必要があります。特に中高年で引き起こす膝痛のきっかけとなりやすいのが、上記で述べたウォーキングやジョギングのほかにも
階段や坂道の下り
にも注意しなければなりません。
皆さんも通勤や通学などで、日常的に駅の階段の昇り降りをされているほか、近年高齢者に人気が高まっている登山やトレッキングも頻繁に坂道を昇り降りすることになりますが、階段や坂道の下りで膝の痛みが出やすいのは、皆さんもご想像のとおり
膝や足首で全体重を支えるため
そして、関節の機構的にも昇りより下りの方が関節が大きく開くため、負荷が掛かりやすいという傾向があるのです。急に膝に激痛が走るシチュエーションは様々ですが、その多くが階段を降りている最中であったり、坂道を下っている最中、ジャンプしたあとの着地時であったりと、
膝に大きな負荷が掛かる瞬間
に痛みが走ることが多いと言っても過言ではありません。
そこで今回は、特に健康を意識して日常的に運動習慣を取り入れている方も留意したい、階段や下り坂で痛みが出やすい膝の状態と改善方法をテーマに、その痛みのメカニズムや膝を痛めないための注意点、万が一痛みが出てしまった際の対処法などをご紹介していきます。
膝痛は前触れなくやってくるのが世の常
激痛に見舞われないためにも、日頃から正しい知識を身につけ、膝関節の保護と機能維持を心掛けるようにしましょう。
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中高年・シニアの登山ブームが膝痛を引き起こす背景に?!
膝の痛みは、世代問わず発症する可能性がありますが、その痛みの特性としては若い世代と中高年では全く異なり、若い世代においては膝の使い過ぎによる疲労が多い傾向にありますが、中高年以降の膝の痛みは
加齢による軟骨のすり減り・筋力低下
であることも多いのが実情。
冒頭でもお伝えしたように、膝関節はその機構上、階段や坂道の昇りより、降りる時の方が負荷が大きいので、昇りでは痛みがでないのに下りになったとたん痛むことも少なくありません。特に近年では、中高年の登山・トレッキングブームなども背景に、膝痛を発症するシニア層が増加傾向にあるのです。つまり
山登りがブームだからといって安易に飛びつくのは危険
ということで、自身の体力はもちろんのこと、膝への負担の大小は足の筋力も相当に関係してきますので、山登り自体はそれなりに脚力が必要なアクティビティであることを認識し、特に足場の悪い下り道においては、手すりや杖などを使って、
自身の体重を膝だけで受け止めないよう意識する
ことが大切です。
階段や坂道においては、昇るときに痛むという方より、下る時の方が痛むという方の方が多い傾向にあり、その痛みのメカニズムも徐々に明らかになりつつあります。近年では、その痛みの原因に、膝の組織のひとつである「膝蓋下脂肪体(しつがいか しぼうたい)」が注目されており、
膝蓋下脂肪体の内圧が高まることで痛みを発症
するというもの。
膝蓋下脂肪体の内圧が高まる要因は、膝を深く曲げたり、膝に水が溜まっているなど様々ですが、従来考えられていた軟骨を成型する栄養素「グルコサミン」や「コンドロイチン」などの摂取とは、アプローチが全くことなるため、特に階段を降りる時だけ痛みが出るような状態では、こうした栄養素の摂取は
痛みの軽減にはつながらない恐れ
があるということを認識しておく必要があります。
膝の鈍痛は、我慢していてもその痛みの度合いも頻度も悪化の一途を辿る傾向にありますので、早めに整形外科などの専門医を受診し、適切な措置を取ることが非常に重要なのです。
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すでに痛みが出てしまっている場合も、そうでない場合も基本的な対策としては
「安静」ではなく「強化」です!
一般的に痛みを感じると、「冷湿布を貼って安静にする」といったイメージがありますが、これはあくまで捻挫などのケガで炎症を起こしている場合の対処。中高年の膝痛においては、膝への負荷が大きくなることによって痛みが発生しているケースが多く、もっとかみ砕いて言えば
自身の体重を支える筋力がない
とも言える状態ですので、もちろん医師の診断・指示を仰ぐ必要はありますが、基本的には過労で衰えた筋力や減少した筋肉量を取り戻すという認識で取り組む必要があります。いずれにせよ、階段の昇り降りに際して膝の痛みを感じるようであれば、変形性膝関節症などの可能性がありますので、専門医の受診を早めに受けるようにしましょう。
ところで、実際の日常生活において、階段や下り坂などで痛みが出る、もしくはいつ痛みが出てもおかしくないといった爆弾を抱えているような状態では、日常生活に支障を来すことは間違いありません。そうした状態が続くと
・余計に歩かなくなる
・それによってさらに筋力が低下
・動かないことで体重が増えやすくなる
・余計に膝に負荷が掛かってしまう
といった負のスパイラルに陥ってしまうという点は、過去記事「▼運動すれば膝痛・しなければ筋力不足~膝を強化するオススメ運動」でもご紹介したとおり。よって、膝を痛めないようなトレーニングで膝まわりの筋力をある程度アップすることを心掛ける必要があります。
でも、そもそも階段を降りるときに使う筋肉って?
階段の昇り降りについては、そのほとんどが太ももの筋肉である大腿四頭筋の動きによるもの。皆さんも、長い階段を上り続けて太ももの外側が痛くなった経験があるかと思いますが、階段の昇りが大腿四頭筋とハムストリングスの動きに対して、
階段の下りは大腿四頭筋のみで体を支える
ため、大腿四頭筋を鍛えることが膝への負担を軽減することにつながるのです。
大腿四頭筋の筋力アップについては、「▼激痛は前触れなくやってくる?急な膝痛の原因と対処法」の記事でもご紹介しておりますが、水中ウォーキングや自転車のほか、
寝ながらまっすぐに伸ばした足を持ち上げて10秒キープ
するだけでも日々のトレーニングになりますので、はじめのうちはこうした簡単な筋力アップルーティンを習慣化させると良いでしょう。それともうひとつ
食生活を見直して体重を5~10%程度減量する
ということも忘れずに!
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