自身では気づきにくいストレスやイライラ起因の睡眠障害の対処法
眠りたいのに眠れない~ストレス起因の睡眠障害とは
健康を保つうえで欠かせない3大要素のひとつである「睡眠」。
広い意味では「休息・休養」といったように睡眠に特化している訳ではありませんが、人間の活動に必要不可欠な睡眠は、脳や身体の休息、疲労回復、ダメージを受けた細胞の修復など、体のメンテナンスを行う重要な役割を担っていますので、年齢を問わず、
しっかりと睡眠を取ることが健康維持には欠かせません
ただし、加齢と共に睡眠時間が短くなったり、「よく寝た」という爽快感が得られにくくなってくるのも事実。若い時のように「今日は爆睡した~」という言葉とは縁遠くなってくるのを実感しつつ、健康を保つためにしっかりと寝ようと思っても、
・なかなか寝付けない
・時間的にもっと寝られるのに目が覚める
・何度もトイレで目が覚めて熟睡できない
などなど・・・
年を重ねるごとに、
良質な睡眠の妨げとなる別の阻害要因が増えてくる
こともまた事実ではあります。
これまでのRe:コラム記事でも取り上げてきたように、睡眠は単に寝ればよいということではなく、いかに良質な睡眠を取ることが何よりも大切で、その良質な睡眠の主な阻害要因となるのが
・肥満などを要因とした「いびき」
※参考記事
肥満や高血圧を要因とした「いびき」は既に生活習慣病のひとつ?
・加齢を要因とした「夜間頻尿」
※参考記事
侮るなかれ!夜間頻尿が与える体や生活への悪影響
・加齢によるホルモンバランスの変化
※参考記事
体内時計をつかさどるメラトニンの働きを理解しよう
などで、その多くが加齢による体の変化が関わってきます。
これらの要因の多くは40代以降の中高年に該当する話ですが、近年では20~30代でも良質な睡眠が取りにくくなってきている傾向にあり、その主な要因として注目されているのが、不規則な生活習慣であったり、運動不足であったり、
悩みや不安などのストレスによる不眠
という要因が増加傾向にあるのです。
そこで今回は、そんなストレスを要因とした不眠・睡眠障害にスポットを当て、自身では気づきにくいストレスと良質な睡眠との関連性をご紹介。悩みや不安だけでなく、イライラなどのストレスもまた、
どの程度良質な睡眠に悪影響を及ぼすのか?
を検証し、その対策・対処法を考えていきたいと思います。
あなたも知らず知らずにストレスを溜め、そして良質な睡眠を得るのに弊害が生じているかもしれませんので、あまりストレスを感じないという方でも、「定期的にご自身の生活習慣を見直す視点を持つ」ということを心がけておきましょう。
ストレスやイライラが入眠障害を引き起こすメカニズム
現代社会において、程度はあれどストレスやイライラは避けて通れません。
ストレスとは上手に付き合い、日常生活に影響が出ないよう適度にストレスを解消することが肝要ですが、言うまでもなくストレスは個人差が大きいところで、その解消方法についても、人それぞれで異なるため、なかなか「これだ」という解消方法が存在しないのも事実です。
ストレスの度合いは、人それぞれの性格的な部分に大きく依存しますが、
・内気で感情を表に出さない性格
・せっかちでイライラしやすいタイプ
などは、ストレスを溜め込みやすく、ストレスによって自律神経が乱れやすい傾向にあります。自律神経と良質な睡眠は特に大きな相関関係にあり、過去記事「▼眠れないときはスローテンポのリラックスできる音楽を流そう」でも解説しているとおり、
1,夜になっても緊張・興奮状態で交感神経が活発
2,睡眠ホルモン「メラトニン」が上手く機能・分泌しない
3,眠りたいのになかなか寝付けない
といった不眠症のなかでも寝つきが悪い「入眠障害」を引き起こしやすくなります。ストレスが入眠障害を引き起こすメカニズムとしては、
・悩みや不安で寝る時間になってもリラックスできていない
・副交感神経の働きが優位とならず、体が睡眠を取る状態にならない
・眠くならないからスマホなどを見続け、余計に寝れなくなる
といったネガティブなスパイラルに陥ってしまうため、ストレスやイライラを感じていたとしても、就寝前までには入浴などでリラックスをしたり、適度な運動を行うことで、そのストレスの要因を一時的に忘れることが大切です。
ただ、上記でも述べましたように、性格的に一時的でもストレスを忘れることができない場合もあれば、
自身ではストレスを溜め込んでいるという自覚がないケース
も珍しくなく、こうしたケースでは、
寝つきの悪さを加齢のせいにしてしまいがち
不眠要因である肥満やいびき、頻尿などは自身や他人が気づいてくれますが、ストレスは自身でも他人でも気づかない場合が多く、知らず知らずに寝不足になったり、睡眠による疲労回復がしにくかったりと、良質な睡眠が得にくくなる傾向にあります。
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強いストレスの対処法の基本は「運動・入浴・音楽・呼吸」
上述のとおり、ストレスの感じ方・受け方は人それぞれですし、仕事や生活環境によっても大きく左右されます。
例えば、車の運転を生業とするトラックドライバーなどは、時間的な制約によるストレス、車の渋滞によるストレスなど、車の運転は特に強いストレスを受けやすいと言われておりますし、介護職や製造業などもまた、ストレスの多い職種と言われています。
※出典:全国労働衛生団体連合会
令和4年 全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書
https://www.zeneiren.or.jp/cgi-bin/pdfdata/20231003173609.pdf
社会人にとって、強いストレスとなりうる要因の多くは仕事が原因のケースも多いですが、個人差はあれどそのストレスをいかにして解消・軽減し、就寝時には副交感神経の働きを活発化させる必要がありますので、寝ることを意識するより、睡眠ホルモン「メラトニン」を分泌させ
副交感神経の働きを活発化させることに意識を傾ける
ことも有効な対処法と言えるでしょう。
睡眠ホルモン「メラトニン」や活動ホルモン「セロトニン」の説明は、過去の睡眠記事で多数取り上げておりますのでここでは割愛しますが、メラトニンを多く分泌するためには、
・日中にセロトニンをしっかりと分泌させる
・そのためにも陽の光を浴びて体内時計を正常化させる
・朝食をしっかり取る
・ウォーキングなど適度な運動もセロトニン量を増やす
つまり、朝から日中に掛けての活動内容が重要になるということです。
メラトニン自体は、海外などではサプリメントとして販売されているようですが、日本国内では副作用リスクが高く、販売が認められていないため、日中のセロトニン量を増やすか、メラトニンが含まれる白菜やキャベツなどの葉物野菜を意識的に摂ることもひとつの対策となります。ただし、
根本はストレス原因を取り除く
ことが肝要で、仕事で慢性的にストレスを感じる場合は、そのストレスをいかに軽減するかも考慮しなければなりません。ストレス対処の基本は、
・運動による適度な疲労感
・入浴による爽快感
・音楽を聴いてリラックス
・温かい飲み物でホッとする
その他、深い呼吸なども副交感神経を優位にする効果的な方法となりますので、ストレスを感じる時は深呼吸して気持ちを落ち着かせ、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料ではなく、マグネシウムを多く含むわかめスープなどを飲むと、よりメラトニンの分泌を促すことができます。
いかがでしたでしょうか?
「眠れなくても寝よう」と考えるほど、気持ちが焦って余計に寝れなくなってしまう傾向にありますので、ご自身で気持ちが落ち着く方法を色々と試し、それを継続することでストレスに負けない良質な睡眠環境を導き出しましょう。