更年期世代に多い「隠れ貧血」と日常的な鉄分補給の心がけ

更年期世代にも多い「隠れ貧血」の定義

経血だけじゃない!更年期世代にも多い「隠れ貧血」の定義

皆さんは「貧血」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
貧血という言葉自体は、比較的馴染み深い単語かもしれませんが、その症状については意外に「詳しいことまでは分からない」というのが実情で、

単に血液が不足しているとか、立ち眩みやめまいがする

といった軽度な症状をイメージされる方が多いかもしれません。
なお貧血においては、生理などの兼ね合いもあり、特に女性がなりやすいというイメージもあるかもしれませんが、もちろん比率的には女性が多いものの、男性も決して無縁ではない症状。貧血という症状自体も、決して血液量が足りないのではなく、

血液によって循環する赤血球と結合する酸素量が不十分な状態

を指しますので、貧血に対する理解が乏しいのが実情かもしれません。
また、単に貧血といっても体内の鉄分が不足する鉄欠乏性貧血や、赤血球自体が壊れてしまう溶血性貧血など幾つかの種類があり、「軽いめまいだけだから~」などと軽視しがちですが、

健康リスクの高い貧血症状もあります

ので、貧血気味だという自覚があるようなら一度専門医の診断を受けた方が良いでしょう。
そこで今回は、そんな貧血の知識を深めるべく「貧血」の基礎知識と、近年更年期世代に増加傾向にある「隠れ貧血」についてご紹介いたします。

最近なんだか疲れやすい・・・
疲れが取れにくい・・・
慢性的な倦怠感でやる気が出ない・・・

何かと体の不調を感じるミドル世代においては、こうした慢性的な疲労感を加齢のせいにしがちですが、

実はその不調は貧血が原因の可能性も・・・

上記でも触れたように、貧血症状においては、言わば体内が酸欠になっている状態で、日常生活においても当然何かしらの悪影響が出てもおかしくないのです。

でも、毎年の健康診断では貧血を指摘されたこともなければヘモグロビンの値なども正常なのに、いつも体がだるい・・・

これがまさに貧血予備軍の「隠れ貧血」

今回は、そんな生活の質をも落としかねない「隠れ貧血」と、その対処法としての鉄分補給の重要性についてピックアップしていきます。男女問わず「貧血とは無縁だ」と思っている方も一度は貧血を疑い、更年期世代に多い傾向にある隠れ貧血についての知識を深めていきましょう。

鉄分の蓄える肝臓の働きと貯蔵される代替鉄「フェリチン」について

鉄分の蓄える肝臓の働きと貯蔵される代替鉄「フェリチン」について

さて、隠れ貧血を知るうえで、まずは貧血の定義を確認しておく必要があります。

貧血とは、

赤血球内に含まれるヘモグロビンというたんぱく質の濃度が低下した状態

を指し、このヘモグロビンは体内に必要な酸素を運ぶ役割を担っていることから、貧血になると当然のことながら全身で酸素不足の状態に陥ります。各組織が酸素不足に陥ることで、めまいや立ちくらみ、息切れや体が疲れやすくなったりしますが、貧血になってしまう原因においては、

・経血などの出血
・無理なダイエットや偏食
・胃潰瘍など消化器系器官の出血

などが挙げられ、特に10~20代の女性は、経血による貧血症状が多く見られます。

つまり、貧血症状は出血を伴うことが多いので、どうしても血液の量にフォーカスしてしまいがちですが、血液の量ではなく、血液の赤血球に含まれるヘモグロビンの量が欠乏した状態が貧血ということになります。ちなみにこのヘモグロビンというたんぱく質ですが、

体内の鉄分から作られる

ので、体の鉄分が不足すると赤血球の産出が低下するだけでなく、酸素を上手く運べなくなってしまうため、慢性的な貧血になりやすくなります。皆さんがよくご存じの一般的な貧血においては、この

鉄分不足を起因とした鉄欠乏性貧血

が最も多いのですが、そのほかにも何かしらの慢性的な血液疾病や消化器系の病気、医薬品の副作用などによって貧血になることがあります。

鉄欠乏性貧血においては、その名のとおり鉄分不足を起因としたヘモグロビンの減少による貧血で、世界保健機構(WHO)の定義では、血液中のヘモグロビン値は

男性で13.0g/dl以下、女性で12.0g/dl以下

出典:厚生労働省・溶血性貧血、メトヘモグロビン血症 – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0322-10e.pdf

とされており、ヘモグロビンが減少すると体内の酸素が少なって顔色が悪くなったり、それを補うために心臓から多量の血液を体内に送り出すため、疲れやすくなったり、だるくなったりすることがあります。

今回のテーマである隠れ貧血においては、このヘモグロビン値は正常である一方、

・鉄分の体内に蓄える肝臓の働きが低下
・貯蔵される代替鉄「フェリチン」の値が低下

している状態を指し、潜在性鉄欠乏症や鉄欠乏性貧血予備軍などと呼ぶこともあります。ここで「フェリチン」という言葉が出てきましたが、フェリチンとは体内に鉄を貯蔵するためのたんぱく質で、貧血のプロセスにおいては

貯蔵鉄(フェリチン)の減少→血液中の鉄量減少→貧血

というプロセスを辿るため、隠れ貧血においてはヘモグロビン値が正常であっても、フェリンチ値が相対的に低い状態を指します。フェリンチ値が低下してしまう要因については様々ですが、主に

・思春期や妊娠などの鉄分需要の増加
・食事による鉄分の摂取不足
・生理や消化器系の疾病による鉄分喪失

上記3つの要因に分類され、消化器系の疾病以外は基本的に鉄分摂取を意識した食生活を心掛けることが予防に第一歩となります。また余談となりますが、このフェリチンの値が高い場合は貯蔵鉄が多くなりすぎている状態であり、肝機能障害や心筋梗塞などの病気が疑われます。

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上述のとおり、隠れ貧血は潜在的な鉄欠乏性貧血が進行している可能性がありますので、食生活を見直して積極的に鉄分を摂取することが基本的な対処法となります。日常生活のなかで、疲れやすかったり、だるくてやる気がでない、息切れがするといった症状においては、

加齢や夏バテだけが要因ではなく鉄分不足も疑う

ことも大切で、特に女性においては生理などで血液の生産より失う量が上回ってしまいやすいため、貧血になりやすい傾向にあることは言うまでもありません。また、隠れ貧血は更年期世代の女性にも多く、

閉経前後の月経周期の乱れや不正出血・大量出血

なども隠れ貧血の要因となります。

40~50代前後は、特に加齢による体の機能低下を実感しやすい年代ではありますので、体の不調を何かと老化のせいにしがちではありますが、女性の場合は上記のような経血量に変化が起きていないか、男性の場合は、胃や大腸といった消化器系出血などの疾病を疑う必要があります。

もちろん、加齢による体質変化が見られる40~50代においては、体の機能低下やホルモンバランスの変化など、貧血以外にも様々な潜在的要因があり、日常生活において何かと疲れやすさや体力低下を感じることが増える傾向にありますが、

特に隠れ貧血は健康診断でも気づきにくい

という点を考慮し、日常的に鉄分補給を心がけることが肝要です。

普段の食生活において、効率的に鉄分が補給できる食品については、過去記事「▼貧血や冷えなど女性に多い悩みに効果的な食材レシピ」でもご紹介しておりますが、

鉄分の吸収率が高いヘム鉄(動物性食品)を摂る

ことが効率的で、鶏や豚のレバーやカツオ、マグロなどの赤身魚に多く含まれています。また、習慣化という観点では毎朝アサリのお味噌汁を飲むのがオススメで、アサリ100gあたりの鉄分量は豚レバーと同等であることを考慮しても、習慣化しやすい食材のひとつと言えるでしょう。

また、食品から摂取した鉄分は、骨髄に運ばれて赤血球内にヘモグロビンを生成しますが、血液の生成においては、ビタミンB6やB12なども必要不可欠な栄養素となりますので、▼ビタミンBに関する過去記事なども参考にしながら、効率的に必要な鉄分が摂取・吸収できるような食事の栄養バランスが重要です。

いかがでしたでしょうか?

皆さんの疲れやすさや倦怠感は、ひょっとすると貧血のサインかもしれませんので、日常的に鉄分を補給できるような食生活の見直し、必要に応じたサプリメントの活用など、鉄分摂取を意識した生活習慣を心がけてみましょう。

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