夏バテ防止の鍵はカリウム!?発汗によるミネラル不足に注意しよう
水分補給だけじゃ不十分?!夏バテ予防にミネラル補給を
例年、暑さの質の変化を感じさせる日本の夏。
7~8月ともなると、もう30℃以上の真夏日は当たり前、35℃以上の猛暑日ですら頻繁になりつつありますので、
健康面での暑さ対策を根本的に考える時期
に来ているのではないでしょうか?
巷では「こまめな水分補給」とよく言われますが、これはあくまで熱中症対策のひとつであり、体温の上昇と脱水を抑えることにフォーカスした対応策。倦怠感やめまい、吐き気や頭痛といった症状は、熱中症の前触れの可能性もありますが、暑さを直接的な要因としない食欲不振や自律神経の乱れといった、
夏ならではの体調不良も考慮する必要がある
という点を改めて認識する必要があります。
十数年前とくらべても、明らかに暑さの質が変わってきているのが現状の日本の夏。まるで亜熱帯気候のような高温多湿の日々、そして南国特有のスコールのような雨が日本各地で起きているのが状況ですので、食生活を含め
日常生活から見直すことで暑さに強い体を作る
ということの重要性が高まってきているのです。
特に熱中症は、命の危険すらあることから「こまめな水分補給を意識しよう」という点は、これからも一番に留意する必要がありますが、夏バテや暑さを要因とした体調不良の予防という観点からは、単に水分補給を心掛けるだけでなく
発汗によって失われやすい栄養素を日々補給する
という意識を持つことがとても大切です。
そこで今回は、そんな亜熱帯気候のような高温多湿の日本の夏を乗り切るべく、発汗量の増える暑い夏はミネラル不足による体調不良に気をつけよう!をテーマに、夏バテの基礎とミネラルの効率的な摂取方法をご紹介していきます。
普段より汗をかきやすい夏の季節は、前回記事「▼やっぱり「うなぎ」が良いの?夏バテ予防に欠かせないビタミンBの効果」でもご紹介したように、発汗によって多くの水分が失われるだけでなく、汗の成分でもあるナトリウムのほか、マグネシウムやカリウム、ビタミンBやCといった
多くのミネラル類が欠乏しがち
夏バテ症状の多くは、鉄分やビタミン類などのミネラルが欠乏することで起こりやすいため、熱中症対策と合わせて、夏バテ予防としてのミネラル補給に重きを置いた猛暑対策を取るように心がけましょう。
ミネラル不足が夏バテを引き起こすフローとメカニズム
夏バテと聞くと、暑さで体がだるい、やる気が出ない・・・といった、
やや精神論的な甘えといった感覚
を覚える方も少なくありませんが、個人差こそあれど、夏の暑さを背景に誰でも様々な不調をきたす可能性がありますので、「甘え」などと思わず、早めの対策が必要です。身近な例では、
暑さでよく眠れない日が続いている
こうしたケースは非常に多いのですが、慢性的な寝不足・睡眠の質低下によって注意力や集中力が散漫になってボーっとなったり、日中の活動のパフォーマンスが低下することも夏バテ症状のひとつ。その他にも
・暑さで食欲が減退して必要な栄養素が不足する
・発汗によって体内のミネラルが不足する
・クーラーの効いた部屋で体が冷えて自律神経が乱れる
これらの多くの要因が「高温・暑さ」ということになりますが、暑さにおいては上記のような身体的な症状以外にも、暑くてイライラする、無気力になるといった
メンタル面での症状も無視できないところ
で、仮に普段から運動習慣がある人でも「暑くて体を動かすのが億劫」といった具合に、無気力さを要因に、徐々に夏バテ症状が進行することも少なくありません。身体的症状においては、しっかりと栄養を取ることが必要ですが、なかでも発汗で失われやすい鉄分などの
ミネラルの補給が追い付かなくなると夏バテ症状がでやすく
特に体内で生成できないミネラルは食事から摂取する必要がありますが、暑さによって食欲も減退しているので、どうしてもミネラルが不足する傾向にあります。なお、厚生労働省では、1日の摂取推奨量が約100mg以上のミネラルを多量ミネラル、1日の摂取推奨量が約100mg未満のミネラルを微量ミネラルに分類し、これらを必須ミネラルと定義しています。
多量ミネラル:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン
微量ミネラル:鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary
/food/ye-035.html
なお、ミネラルの多くは、筋肉や神経、ホルモンの働きを調節する役割を持っており、足がつりやすいなどの症状は典型的なミネラル不足。特に多量ミネラルのなかでも「カリウム」不足は
筋力の低下・食欲不振・倦怠感
などに直結するほか、カルシウム不足は免疫機能の低下、鉄分不足は動悸・息切れなどの要因となるため、まさに夏バテ症状そのものに陥ります。これらのように、体の機能調節や維持を司る必須ミネラルが欠乏することで、様々な不調をきたすようになりますので、
「暑くてだるいのではなく、ミネラル不足でだるい」
という認識を持って、栄養バランスを考慮した食生活を心掛ける必要があります。
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夏バテ防止の救世主カリウムを効率よく習慣的に摂取する方法
上記でご紹介した多量ミネラルのなかで、特に不足しがちなミネラルが
・カルシウム
・カリウム
・マグネシウム
逆に摂りすぎに注意したいミネラルが
・ナトリウム
・リン
といった傾向にあります。
カルシウムは、人間の骨や骨格を形成のほか、免疫機能にも影響する重要なミネラルのひとつで、牛乳や小魚に多く含まれていることは広く知られているとおり。一方のカリウムやマグネシウムは
相対的に知名度も認知度も低いため
効率よく摂取できる食品はおろか、その栄養素すらあまり知られていないのが実情です。
上述のとおり、カリウムは
筋肉機能の調整のほか、細胞の浸透圧調整、血圧調整など
体にとって重要な機能を担っておりますし、マグネシウムもまた同様に、筋肉の収縮や神経伝達、不整脈などが出やすくなります。カリウムもマグネシウムも海藻類や豆類などに多く含まれているため、摂取自体は決して困難ではありませんが、カリウム豊富なお味噌汁など、
夏場の摂取が減る傾向にある食品が多い
ので、一日のはじまりとなる朝食に、意識的に多く摂ることを心掛けると良いでしょう。
なお、カリウムもマグネシウムも、摂り過ぎも体にとっては良くないため、過度に摂取を意識する必要はありませんが、逆にナトリウムやリンは塩分として摂り過ぎてしまいがちなので、注意する必要があります。
なお、習慣的にカリウムやマグネシウムを心掛けるなら、朝食として
1,海藻たっぷりの味噌汁
2,冷ややっこ(豆腐)
3,五目ひじき
4,鶏ささみ
などがオススメで、手軽に食べられることはもちろん、暑くても食べられるという点でミネラル補給にオススメ。野菜類であれば、ほうれん草やブロッコリーに豊富に含まれているため、冷凍食品でも代替できる点では手軽に摂取できる食品と言えます。なお、カリウムやマグネシウムは水溶性で見ずに溶けやすいため、調理の際に溶け出さないよう、
お味噌汁やスープといった調理との相性が良い
という点も押さえておくと良いでしょう。
食欲が減退しやすい夏場は、どうしても調理したくない、熱いものを食べたくない、食事は簡単に済ませたい・・・といった心理が働きやすいのが実情ですが、
こうした傾向が夏バテの直接的な要因となってしまう
ため、冷たいものを食べる際にも、冷たい素麺ばかりではなく、冷ややっこや、冷やしたほうれん草のおひたしなどを食べることで、必要なミネラルを習慣的に摂取できるようになります。もちろん、そればかりに重きを置くと栄養が偏ってしまうため、あくまでバランスが重要ではありますが、
ミネラルの摂取によって食欲が減退しにくいぶん
様々な栄養素を摂る意欲は維持できるため、それだけでも夏バテ回避の要因になるということを覚えておくようにしましょう。
夏場のやる気の低下は、暑さだけが要因ではなく、ミネラル不足が要因であることを認識し、毎年のように夏バテしてしまう方は、ミネラル不足に陥らない夏の食生活と生活習慣を見直してみると良いでしょう。