乳酸菌は効果ナシ?生きた乳酸菌は腸まで届かないって本当?
腸を働きを司る乳酸菌の必要性・どれくらい理解してる?
健康の三原則と言えば「食事・睡眠・運動」。
・栄養バランスの取れた食事を心がける
・良質な睡眠が取れる規則正しい環境
・そして適度な運動を行う生活習慣
これらを継続することで健康が保たれるということは、皆さんのご承知のとおりです。とは言え、現代社会においては生活の糧となる仕事などによるストレス、生活スタイルの変化による生活の規則性の多様化など、
ひとえに食事・睡眠・運動だけで健康三原則は語れない
という見方もありますが、健康維持へのアプローチにおいては、まずこの三原則を整えることが重要であることに変わりはありませんので、年齢に関わらず自身でできることから、日々心がけていくようにしましょう。
そんな現代社会における課題が「ストレス」
何といっても自分自身でコントロールしにくいのが最大の特徴であり、いくら日々健康に意識していたとしても、仕事のストレス・育児のストレスなど、様々なストレスが
知らず知らずに蓄積され身体に変調を来たす
ことも珍しくありません。
「ストレスと上手に付き合う」と言っても少々綺麗事のように聞こえてしまいますが、ストレスを上手に解消できる人もいれば、些細なことでストレスに感じてしまう性格の人もおり、一概に解決の糸口が見つけにくい健康リスクのひとつと言えます。
そんな方にオススメしたいのが乳酸菌。
過去記事「▼ストレス緩和や睡眠の質改善にも?乳酸菌が身体にもたらす働き」でもご紹介しておりますが、腸の働きを整えて活発にするイメージの強い乳酸菌は、
精神的ストレスを和らげて睡眠の質を向上させる
という働きがあることが明らかになっているのです。
もちろん、健康の三原則である「食事」という観点でも、腸の働きの活発化や腸内の悪玉菌を増やさないためにも乳酸菌は重要ですが、乳酸菌は腸内環境を整えるだけでなく、病気の元となる細菌などの侵入を防ぐ
免疫細胞を活性化させて病気になりにくくする
という働きもあるのです。
今回はそんな「乳酸菌」にフォーカスし、乳酸菌の基礎知識と効率的な摂取方法などを取り上げていきます。タンパク質やビタミンなどとは異なり、乳酸菌は栄養素ではありませんが身体にとって必要不可欠な細菌。
そんな乳酸菌の知識と理解をこの記事で深めていきましょう!
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さて、前置きが長くなりましたが、乳酸菌の働きと言えば
腸内環境を整えて便通を改善する
といったイメージが強いかと思います。
欧米諸国のような肉食中心の食生活によって腸内環境が悪化、悪玉菌が増えやすくなって便秘がちになって、生活習慣病はもちろん、肌荒れや免疫力が低下するという状況を改善してくれるのが乳酸菌の働きのひとつではあります。
腸内環境を改善するうえでも、乳酸菌が多く含まれるヨーグルトやチーズ、味噌や納豆などの発酵食品を多く摂るのがセオリーではありますが、一部では
乳酸菌は胃で消化される際に死滅してしまう
つまり、腸に届く前に胃で死滅してしまうので、食事からは摂取できないという見方もあります。確かに細菌と言えど生物なので、死んでしまってはその働きは失われるようなイメージもありますが、実は乳酸菌においては
生きていなくても身体にとって有効な健康効果がある
ことが医学的に解明されており、コレステロール低下や血圧降下など身体にとって有効な生理機能が確認されています。
ちなみに、ヨーグルトに含まれる乳酸菌には上述のとおり
・胃で消化されて死滅してしまうもの(死菌)
・生きて腸まで届くもの(生菌)
とがあります。
ちなみに、乳酸菌は摂氏20~45℃程度で活発化するため、ヨーグルトなどを食べることで体内に取り込まれれば、その体温によって腸内で増殖し、腸内の悪玉菌を減らして腸の調子を整えてくれます。逆に80℃程度になるとほとんどが死滅してしまうため、加熱することに合理性はないと言えます。
また、乳酸菌に並んで善玉菌の代表とも言えるビフィズス菌は、偏性嫌気性菌といって空気に触れるだけで死んでしまいますが、先述のとおり死菌においてもその効果が失われるわけではないため、免疫力や抵抗力向上という観点でも積極的に摂取することが肝要です。
・生菌は腸内で増殖して整腸作用に働く
・死菌は免疫効果を高めたりコレステロールを低下
といった役割があることを知っておきましょう。
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生きた乳酸菌を効率よく摂取するおすすめ食材と食べ方
これまでご説明してきたとおり、敢えて生きた乳酸菌を腸まで届けようと意識せずとも、乳酸菌には生菌・死菌でそれぞれ健康効果があることが分かりましたが、日常の食生活のなかで
どのような食材を食べれば効率よく摂取できるか?
という点が気になるポイントではあります。
ヨーグルトやチーズといった乳製品のほか、味噌や漬物、納豆といった発酵食品に乳酸菌が多く含まれていることは既にご承知のとおりですが「生きたまま腸内に届ける」という点では、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか?
実は、乳酸菌やビフィズス菌は上述のとおり胃酸や胆汁で死滅してしまいますが、各種食品メーカーなどが
胃酸や胆汁に対して耐性を持った菌を育成
しており、死滅しにくくなっているという傾向にあります。
例えばヨーグルトを例に挙げると、ビフィズス菌などは酸素に触れることで死滅してしまいますが、製品を作る過程のなかで酸素の溶け込みを少なくしたり、酸素に対して耐性を持つ菌を使用することで、生菌を腸まで届くような製品を開発しているのです。
ただし、ビフィズス菌は偏性嫌気性菌である以上酸素に弱いので、空気に触れさせないよう
ヨーグルトなどは混ぜないで食べる
ということを覚えておくと良いでしょう。
また、ヨーグルト以外にも乳酸菌を多く含む食材は多数ありますが、ヨーグルトやチーズといった動物性の乳酸菌は腸に長く留まる傾向がある一方、漬物や味噌などの
植物性乳酸菌の方が生きて腸に届きやすい傾向
にあり、共にメリット・デメリットがあります。
食品から効率よく摂取するという観点では、例えば朝食にヨーグルトを摂り、お昼に漬物、夜に味噌汁といった組み合わせであれば、動物性乳酸菌も植物性乳酸菌も上手に摂取することができるでしょう。
生菌・死菌を食事で上手くコントロールするというのは少々難しいかもしれませんので、一日三食のなかで
動物性および植物性の乳酸菌食材を取り入れる
ことが、乳酸菌を効率よく摂取するポイントと言えるでしょう。
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