慢性的な睡眠不足が高血圧や糖尿病の原因に?
睡眠不足だと身体にどのような変化が起きるの?
現代社会においては、何かと忙しく時間に追われることが多い傾向にあり、一人ひとりの日中の活動時間が長くなりつつあります。そのぶん睡眠時間が削られることとなり、働き盛りの30~40代の平均睡眠時間は5~6時間程度と、お世辞にも十分な睡眠を取れているとは言えない状況です。
仕事や育児など目先の物事に追われてしまい、睡眠を取ることを後回しにしがちですが、実は睡眠は健康を維持するために必要な行動であり、体や脳の疲れをリセットしてくれるほか、細胞の修復なども担うとても重要な生理現象なのです。この身体にとって大切な睡眠が十分でないと、
・体の疲れが取れない
・頭がぼーっとして気力が出ない
・日中でも常に眠い
・肌の調子が悪い など
個人差ことあれど、上記のような身体の不調をきたすことになります。
さらに、慢性的な寝不足が続くと上記のような表向きの不調のみならず、自律神経やホルモンバランスの乱れなどから肥満や糖尿病、高血圧、うつ病などの精神疾患など、様々な病気の疾病リスクを高めることが分かっています。
この記事では、主に睡眠不足が招く高血圧と糖尿病についてフォーカスし、それらリスクについての理解を深め、そうならないための対策を検証してみましょう。
睡眠不足が招く糖尿病リスク
皆さんもご存知のとおり、糖尿病は1型と2型に分類されますが、前者は先天的なものであることが多い反面、後者は中高年に多く、肥満の方が多いのが特徴です。糖尿病は、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの働きが、何らかの影響で十分に機能しなくなり、血糖値の高い状態が続くことで様々な合併症を引き起こす恐ろしい病気です。
主に2型の糖尿病は、高カロリーや高脂肪食過多、暴飲暴食のほか運動不足やストレスなどを原因とし、インスリンの分泌量や働きが低下してしまっている状態です。食べすぎや運動不足においては、生活習慣病の典型的な要因ではありますが、加えて睡眠不足においても、活動時間が長くなるにつれ、必然的に食事の回数も増えたり、食欲を抑制するホルモン「レプチン」が減少してしまうことは、過去記事「肥満の原因?!慢性的な睡眠不足と生活習慣病」でもご紹介したとおりです。
・一度の食事の量が多い
・徹夜で夜食を摂ることが多い
・飲酒や喫煙の機会が多い ほか
慢性的な寝不足続きで、上記例のような状態だと、言うまでもなく糖尿病のリスクが高いと言えます。もちろん、肥満やメタボリックシンドロームの状態も兼ねることが多いので、しっかりと睡眠を取って適度な運動を行い、生活習慣を改めることが最大の予防となります。
高血圧が招く良質な睡眠の阻害
上記のとおり、睡眠不足が糖尿病や肥満、メタボなどの要因になることが分かりましたが、もう一つ忘れてならないのが高血圧です。得てして、肥満の人ほど血圧が高い傾向にあるのは承知のとおりですが、実は睡眠不足自体が高血圧の要因となる場合もあります。
そこには自律神経が大きく関係しており、人間の身体は昼間は交感神経が活発に、夜間は副交感神経が盛んになるという自然なリズムを作っています。血圧の変化は、通常日中の活動時間に向けて高くなり、入眠に向けてもっとも低くなりますが、睡眠不足によって交感神経と副交感神経の働きが乱れると、就寝中でも脳が活動している状態になり、血圧も下がらずに良質な睡眠を取ることが困難になります。
それ以外にも、太っている人や高血圧、糖尿病などの既往がある人ほど、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが高まります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も覚醒してしまうため、極端に睡眠の質が低下して寝ているはずなのに睡眠不足となり、一層の高血圧を招く可能性があります。
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞、心不全など、三大疾病における心疾患の要因となることは言うまでもなく、さらにこれらに加えて糖尿病の要因ともなるという点をしっかりと認識し、早めに生活習慣の改善を行うようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
睡眠の重要性については、過去記事▼「睡眠は時間よりも質が重要と言われる要因は?」でもご紹介いたしましたが、睡眠不足が大病の要因となることを改めて認識して、規則正しい生活を送れるよう日々の心がけを大切にしましょう。