良質な睡眠効果も?!EPAの睡眠効果と食生活の重要性
血液サラサラだけじゃない!必須脂肪酸「EPA」の睡眠効果
現代人における健康リスクのひとつに挙げられる「睡眠」。
睡眠負債といった言葉があるように、慢性的な睡眠不足はもちろん、寝ているつもりでも疲れが取れずに心身に支障をきたしている状態は、多くの方が実感する部分ではありますが、それが原因で体の不調を招く可能性があることは、あまりよく知られていないかもしれません。
睡眠においては、ただ寝れば良いというわけではなく、
いかに良質な睡眠を取るかが重要
という点は、「▼睡眠・眠り」のテーマにて数多くの記事をご紹介いたしましたが、実際に目で見ることのできない「睡眠の質を上げる具体的な方法」については、多くの方で暗中模索状態・・・
人間における健康維持の3大要素「食事・運動・睡眠」が重要であることはご承知のとおりで、栄養バランスの取れた食事、適度な運動習慣は、ある程度イメージできますが、睡眠(休養)については
頭では分かっていても、何をすべきかわからない
というのが実情。
毎日しっかり睡眠時間を確保していても、年齢と共に夜中に目が覚めやすくなったり、睡眠時無呼吸症候群などで睡眠の質が低下したりと、睡眠の質を改善するには、生活習慣や就寝環境の見直し、不安や悩み、ストレスの解消など、あらゆる生活習慣を見直す必要があります。
そこで今回は、そんな睡眠の質を改善すべく
食習慣として取り入れたい「EPA」の睡眠効果
についてのご紹介です。
必須脂肪酸「EPA」は、DHAと並んでオメガ3脂肪酸のひとつであり、この成分の主な体への効果は、血液をサラサラにして動脈硬化や生活習慣病の改善に役立つことでよく知られていますが、今回の取り上げるEPAの効果については、
EPAにおける幸福感の高まりと体内時計の正常化
つまり、血液中におけるEPA濃度が高いほど幸福感が高まり、不安や緊張感が低減されることで、寝つきが良くなったり、睡眠の質が向上。体内時計が正常化することで日中における活動の質も向上する、というものです。
今回は、そんな睡眠の質を向上させるべく手段のひとつ「EPA」の睡眠効果と、EPAを習慣的に摂るための食習慣の重要性についてピックアップしていきます。もちろん、上述のとおり睡眠対策は、食事・運動・習慣など、トータル的な改善が必要ではありますが、まずはできるところから始めて、習慣化のクセをつけることからチャレンジしてみましょう。
熟睡の鍵はセロトニン!?「睡眠の質」向上のメカニズム
繰り返しとなりますが、EPAはエイコサペンタエン酸のことで、
体内ではほとんど生成できない必須脂肪酸のひとつです。
必須脂肪酸は、主にオメガ3とオメガ6に分類され、そのオメガ3に分類されるのが、EPAであったりDHAだったりします。脂肪酸の分類詳細については、過去記事「▼朝?夜?DHAの1日の食べる量目安と効率的な摂取タイミング」も、合わせてご参照いただければと思いますが、今回取り上げる「EPAの睡眠効果」におけるメカニズムにおいては
EPAを摂取することでセロトニン分泌を促す
ということが重要なカギとなります。
過去にもご紹介したように、EPAは冷たい海水に生息するサバやイワシ、マグロなどの俗にいう青魚の魚油に多く含まれる成分ですが、魚油はコレステロールを下げる作用があるほか、脳内における
セロトニン分泌を高める作用がある
ことが分かっており、抗うつや精神安定薬に用いられています。
当Re:コラムでも多く取り上げてきました「セロトニン」。
セロトニンおよびメラトニンは、人間の体内リズムの一役を担っていることを過去記事「▼体内時計をつかさどるメラトニンの働きを理解しよう」にて詳しくご紹介しておりますが、セロトニンは日中の活動ホルモンであると同時に、ドーパミンやノルアドレナリンといった
脳内ホルモンの分泌を制御して精神を安定させる働き
もあるのです。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
/information/keywords/serotonin
でも、良質な睡眠という観点では、日中の活動時間に優位となるセロトニンではなく
睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を促すべきでは?
と思う方もいるかと思います。
もちろん、メラトニンの働きを優位にすることも大切ですが、夜の就寝前にメラトニンを優位にするためにも、日中のセロトニンの分泌が非常に重要であり、夜になってもメラトニンの分泌量が増えない(入眠が困難)ようなことを避けるためにも、セロトニンの分泌をしっかり促すことが大切です。
つまり、EPAを摂取することによってセロトニン分泌量が増え、幸福感を得たり、活発さを得たり、ストレスに強くなることで、
メラトニンの働きを優位にさせる環境を作る
といった間接的な効果に着目し、結果的に睡眠の質を向上させるのです。
日中の活動内容によって、睡眠の質が変わってくることはご承知のとおりですが、日中の活動の質を高めるためにも、EPAが効果的だということを覚えておくようにしましょう。
EPAの睡眠効果に関する人気記事
魚介類にしか含まれない~EPAを摂取する食習慣を意識しよう!
EPAの働きと良質な睡眠につながるメカニズムを理解したところで、
習慣的にEPAを摂取する食習慣
についてみていきましょう。
上述のとおり、EPAはイワシ・サバ・マグロに多く含まれるため、基本的にはそれら青魚を日々摂取することが大切です。青魚においては、脳卒中や心筋梗塞など、循環器系疾患の予防にも効果的で、毎日の食事に積極的に取り入れるのがベター。
ただし、加熱調理においては多くのEPAが失われてしまうため、
青魚の栄養素を効率的に摂るなら刺身が一番。
EPAを摂取するために、毎日お刺身を食べるとなると、経済的な面での相談が必要になるかもしれませんが、調理の手間がかからないという観点では、継続・習慣化しやすいといった特徴があります。
次に、EPAの1日摂取量目安を見てみましょう。
厚生労働省が推奨するEPA・DHAを含むオメガ3系脂肪酸の一日摂取目安量は
■男性
30~49歳:約2,000mg
50~64歳:約2,200mg
65~74歳:約2,200mg
■女性
30~49歳:約1,600mg
50~64歳:約1,900mg
65~74歳:約2,000mg
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750
/000586553.pdf
グラム数で言われてもピンとこないかもしれませんが、例えばマグロの刺身では
・マグロ中トロ100g:約1,400mg
・マグロ赤身100g:約27.0mg
同じマグロでも部位によってEPAの含有量は大きく異なりますので、その点も踏まえて、習慣化できる食材を選ぶことも大切。お刺身100gと言うと、
スーパーの刺身パックで概ね5〜7切れ相当
になりますので、上記を踏まえると1日の推奨摂取量目安は相当にハードルが高いとも言えるかもしれません。ただし、刺身などの生魚だけでなく、手軽に食べることのできる缶詰を取り入れることで、効率的にEPAを補うことも可能です。
ツナ缶:100gあたり約110mg
サバ缶:100gあたり約900mg
上記缶詰だけでも推奨摂取量には届きませんが、これらを日々の食事に組み合わせることで、飽きずに無理なくEPAを摂取するといった習慣づけができるようになります。EPAの摂取においては、
青魚以外の替えがきかないのが実情
ではありますが、睡眠の質を向上させるうえでは、毎日の摂取が必要な栄養素であることは間違いありません。特に中高年以降は、ホルモンバランスの変化などもあり、眠りが相対的に浅くなる傾向にありますので、こうした事実も踏まえEPA摂取の習慣化に早めに取り組むのが良いでしょう。