「イタタッ」が口癖?膝や肩関節が痛む中高年のためのロコモ対策

「腰・肩・膝」の順で多い!中高年の約7割が悩む関節痛

健康に対する意識が高まる30代後半以降。
毎年行う健康診断などで、具体的な数値が明らかになることで、その意識は一段と強くなる傾向にあります。ただ、実際に企業などで行われる健康診断の多くは、労働安全衛生法に基づいた一般健診で、身体計測や血液検査、尿検査など、

あくまで基本的かつ内器官検査が中心

人間ドッグなどは、一般健診とは異なり検査項目が格段に増えますので、健康維持という観点では毎年人間ドッグを受診したいというのが本音。また、40代以降となると、生活習慣病予防を目的とした特定健康診査に移行してきますので、

年齢を重ねるごとに様々な疾病リスクが高まる

という認識は年齢と共に意識を高めておきたいところです。

さて、この健康維持への意識の高まりという点においては、

まず健康とは何か?

という点を理解しておく必要があります。
世界保健機関(WHO)におけるWHO憲章によると、健康とは

肉体的にも精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態

と定義されていますが、健康に対する認識の多くは、がんや脳梗塞などの重大疾病に対する予防などが中心。日本の死因の多くが、がんや心疾患、脳血管疾患などに集中していることから、

どうしてもこれら重大疾病の対策ばかりにフォーカスしがち

一方で、健康というのはあくまで「すべてが満たされた状態」ですので、仮に体の内器官が至って健康であっても、膝関節の疾患で歩くことが困難、腰痛で起き上がることもできない・・・このような状態では、言うまでもなく健康と言うことはできないのです。

そこで近年注目が高まっているのがロコモ対策。
過去記事「▼2023年後半の健康テーマは「ロコモ対策」~そもそもロコモとは?」でもご紹介いたしましたが、ロコモティブシンドロームとは、「歩く」「立ち上がる」といった、足腰を使った移動機能が加齢にと共に低下する状態を指し、

中高年に多い関節痛のなかでも足腰のみに特化した概念です。

40代以降の中高年の約7割が何らかの関節痛に悩んでいる現状。
特に腰痛においては、日本の国民病とまで言われるほど、多く方が一度は経験をする関節痛ですが、特に骨子から下の下半身における関節痛においては、まさにロコモティブシンドロームであり、日常生活に支障を来たすだけでなく、

生きることへのモチベーションを低下させてしまう

といったメンタル不調の原因ともなりうるのです。

今回は、そんな健康維持に欠かせない体の機能「関節」にスポットを当て、いつまでもイキイキとした生活を送るうえで重要な体の機能の維持の方法、ロコモ対策について詳しくご紹介していきます。健康とは、内臓や血管だけではないという認識を高め、特に下肢の健康を意識した生活習慣を心掛けていきましょう。

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さて、日本の国民病とも言われる腰痛をはじめとした関節痛。
もちろん個人差もありますが、中高年の多くが「やれ肩が痛い、膝が痛い」と感じつつも、その痛みと付き合いながら日常生活を過ごしているのが実情です。上記過去記事でもご紹介しておりますが、高齢者における要介護者の約25%は運動器障害が原因という状況を踏まえると、ご承知のとおり平均寿命は年々伸びておりますが、

健康寿命はそれほど向上していない

というのが実情です。

健康寿命とは、健康上なにも問題がない状態で日常生活を送れる期間のことで、高齢者の多くは何かしらの運動機能の障害を持っていたり、中高年以降になると体の様々な関節が痛み始めたりする傾向にありますが、

基本的には運動不足であったり、加齢による体型変化などが根底にある

ということを認識しておく必要があります。
例えば、会社に勤め始める20代頃から40代以降の中高年になるまでの20年前後

まったく・ほとんど運動をした習慣がない

という方が多いのも実情で、諸外国にくらべると日本人の運動習慣の乏しさは顕著であると言われており、
1回30分以上の運動を週2回以上実施、さらにそれが1年以上継続している人の割合でみると、もっとも働き盛りの世代となる

・30~39歳の男性で25.9%
・40~49歳の男性で18.9%

※出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」
https://www.mhlw.go.jp/content/001066903.pdf

と、約70~80%前後の人で運動習慣がほとんどないという状況、さらに女性になると、もっと運動習慣がある人の比率が低いという状況がが浮き彫りになっています。

その背景には日本の就業環境にあり、残業等が慢性化してきた時代背景もありますが、平日のほとんどを仕事の時間に費やすような生活環境では、

運動習慣を身につけるのは非常に困難

運動習慣を身につける前に、生活習慣から見直す必要があるのです。

【諸外国に運動不足人口の割合】


出典:BBCニュース
「Lack of exercise puts one in four people at risk, WHO says」(2018)
https://www.bbc.com/news/health-45408017

世界で見ると、運動不足の定義が多少異なるかもしれませんが、米国民の20歳以上の約40%が運動不足というデータが示されており、日本はさらにそれ以上と考えると、かなり運動不足比率が高いことがうかがえるとでしょう。

「歩く」「立ち上がる」などの下肢機能においては、言うまでもなく日常生活を送るうえで絶対的に必要であり、下肢機能が不自由になることで生活の質を低下させるだけでなく、普段の活動に対するモチベーションを低下させてしまい、

ますます体を動かすことをしなくなってしまうのが現実

日本人の運動習慣の低さは、本人の意思だけの問題ではなく、物理的に体を動かす時間を取りにくいといった背景もありますが、特に筋力や身体の機能が衰え始める30代後半以降からは運動習慣を身につけ、筋力維持を心掛ける必要があるのです。

一方で、激しい運動もまた変形性膝関節症といった膝痛の原因となりますので、その辺の兼ね合いは難しいところではありますが、習慣的に行う適度な運動は

・生活習慣病予防
・ストレス解消による自律神経の整え
・ロコモ対策&予防 などなど

健康維持に対する様々なメリットがあるということを覚えておくようにしましょう。

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上記でも触れましたように、関節に痛みを感じ始めると相対的に体を動かすこと自体を避けてしまい、その影響でより一層筋力の低下を招いてしまう傾向にあります。もちろん、股関節や膝関節に痛みがあるなかで、

無理に負荷を掛けることで症状の悪化を招いてしまう可能性

もありますので、くれぐれも医師の判断のもと、適切な対処を取る必要がありますが、ロコモ対策においては

運動や生活活動によって骨・筋肉・関節等に適度な負荷を掛けること

がなにより重要。

一方で、過度な運動においては関節への負荷が増大するため、特に関節に存在する軟骨や椎間板の痛みを速めてしまうリスクもあるのです。運動は、やらないのはダメですが、やりすぎもダメ。体重管理においても、痩せすぎは筋力が落ちるのでダメですが、当然太りすぎもダメなのです。

繰り返しとなりますが、ロコモティブシンドロームは、歩く・立ち上がるなどの足腰のみに特化した概念。そのロコモ対策の大前提となるのが「足腰の筋肉を強く保つ」ということになりますので、

ロコモ対策の基本としては「運動と栄養」

バランスの取れた栄養をしっかり摂って、無理なく続けられる運動をしっかり続けるということを心掛ける必要があります。特に中高年のサラリーマンなどは、コンスタントに時間が取れないことから、無理な運動量を一気に行って、その後しばらく動かさないといったサイクルを取りがちですが、

ロコモ対策における運動は原則毎日、最低週2回以上

が基本となりますので、あくまで週に2回以上実施できる運動量を自らコントロールすることが肝要。30代後半や40代では、

歩く・立ち上がるなどの機能低下に対する実感が沸かない

というのが本音ではありますが、ロコモ対策の基本概念は「下肢などの運動器を長持ちさせ、健康寿命を延ばしていくこと」になりますので、

これらの機能が低下する前から対策を講じておく

という点を認識しておくことが大切なのです。

いかがでしたでしょうか?
ロコモティブシンドロームは、運動習慣の有無だけではなく、肥満や高血圧など生活習慣病のある人などもかかりやすい病気だということが近年分かってきております。年齢問わず、

日ごろの生活習慣を見直すことがロコモ対策につながる

ということを常に意識しておきましょう。

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