しゃがめないは加齢のせい?!屈伸で膝が痛む人の状態を知ろう
膝痛持ちには鬼門姿勢「正座・しゃがむ」で痛みが出る原因
イスやソファから立ち上がる際に、ついつい発してしまう「よっこいしょ」。
場所によっては「どっこいしょ」の場合もあるようですが、一般的には年をとった証的な認識が広まっております。確かに若い世代の方が「よっこいしょ」ということは少ない傾向にありますが、実はこの掛け声、脳科学的には
小脳の働きを活発にして運動がしやすくなる
魔法のようなおまじないだそうで、年をとると無意識に出てしまう言葉ではありますが、それだけ加齢によって運動機能が低下している証左なのかもしれません。その他にも、何か体を動かすごとに発してしまう「いたたたっ」・・・
・腕を上げると肩が痛い
・前かがみになると腰が痛い
・しゃがむと膝が痛い
などなど・・・、日常の動作のなかに様々な痛みが伴ってくるのも
言わば中高年の宿命
と言っても過言ではありませんが、どうしても体の各筋肉や関節においては、
加齢によって柔軟性が低下し関節の可動域が制限される
つまり、関節の動きが小さくなってくるため、それ以上の動きをしようとすると痛みが伴うのは致し方ないことでもあります。特に年末の大掃除などは、こうした動作を伴う作業が多いため、
関節に痛みを感じる人にとっては苦痛以外の何ものでもない
かもしれませんが、その痛みの原因を加齢で片づけてしまうと、今後延々とその痛みを付き合い続けなればならないことになりますので、やはりその痛みのメカニズムを知り、正しい対処を行って、少しでもその痛みを軽減すべきではあります。
そんな関節痛のなかでも、特に日常生活への影響度が大きいのが膝痛。
もちろん腰痛もまた生活の質を低下させる疾患のひとつではありますが、膝痛においては、運動はもちろんのこと、痛みで歩くことすらできない、しゃがむことができないなど、生活に必要な多くの動作に悪影響を及ぼすのが実情。
特に40代以降の中高年においては、
・しゃがむなど膝を深く曲げると痛い
・膝が痛くて長時間正座ができない
・就寝時など膝を伸ばすと痛い
などの症状が出やすくなりますが、これら動作は普段生活していても比較的多い動作ではありますので、当然生活そのものに支障を来しますし、その痛みを放置していても加齢と共にどんどん悪化していく可能性がありますので、やはりしっかりと対処していく以外選択肢はありません。
今回は、そんな曲げたり伸ばしたりする際に痛みが生じる膝痛にスポットを当て、
その痛みの原因や膝の状態について詳しくご紹介
していきます。
昨今では、和室や和式トイレを使用する頻度も少なくなってきましたが、
知人宅で借りたトイレが和式だった・・・
葬儀などで長時間正座をしなければならない・・・
といったように、いつ膝を深く曲げなければならない状況に直面するかはわかりませんので、加齢だからといって諦めるのではなく、しっかりと膝痛対策が取れるようこの記事で正しい知識をしっかりと身につけていくようにしましょう。
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痛みの犯人は軟骨か?半月板か?靭帯か?
さて、これまでも膝の痛みに関する様々なテーマをピックアップしてきましたが、中高年における膝痛の多くは変形性膝関節症が原因であり、膝の軟骨が長きに渡って徐々に擦り減ることによって生じる自然治癒の望めない症状です。
とは言え、膝の痛みの原因は様々ですので、まずは
自身の膝痛の原因がどこにあるのか?
何が原因なのかを明確に知る必要があります。
過去記事「▼あなたの膝痛はどこから?膝の皿の上下で異なる症状と原因」でも取り上げておりますが、中高年の膝痛だからといって、必ずしも軟骨の擦り減りが痛みの原因とは限りませんので、その判断は必ず整形外科医などの専門医の診断を仰ぐようにしましょう。
なお、靭帯などの炎症による痛みの場合は、患部が熱を持ったり、冷湿布などで冷やすことで痛みが和らいだりすることが多いですが、変形性膝関節症などの慢性的な関節痛は、
血流が悪くなると痛みが悪化する場合
がありますので、温めた方が痛みが和らぐことが多い傾向にあります。
膝の靭帯損傷による痛みにおいては、外的な要因が明らかであることがほとんどで、例えば転んで膝を強くぶつけてしまったり、スポーツなどで激しい接触をしてしまったり、といった具合で、ご自身でも思い当たる節があることが多い傾向にあります。
一方、変形性膝関節症などは上記のとおり
時間の経過と共に自然に痛み出してくる
といった具合に自覚が難しく、関節における軟骨の摩耗程度などは専門医の診断を受けない限り把握することができないため、対処・対応が遅れてしまうといった節があります。ここでは主に、加齢に伴い発症することの多い変形性膝関節症のお話となりますが、変形性膝関節症の状態で
行うべきでない動作がまさに膝を深く曲げる動作
変形性膝関節症における痛みの要因は、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間にある軟骨が擦り減り、最終的には双方の骨をも擦り減って骨の表面がデコボコに変形してしまい、炎症を起こしてしまうのが原因。
正座やあぐらをかく、しゃがみ込みのような膝を深く曲げる動作は、大腿骨と脛骨がぶつかりやすくなるため、避けた方が良いことは言うまでもありません。また、急な動作も膝関節に大きな負担となるため、瞬発性が求められるサッカーやテニス、スキーなども避けた方が良いでしょう。
適切な対処や日常生活の心がけを放置すると、最悪歩行困難といったことにもなりかねない、まさに
ロコモティブシンドロームの原因となる代表的な疾病のひとつ
という認識を高める必要があります。
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最悪は歩行困難!?中高年に多い変形性膝関節症の様々なリスク
たかが膝痛、加齢現象だから仕方ない・・・
などと精神論で我慢できるほど、軽い症状ではないことは上記でご紹介したとおりですが、加齢に伴う膝痛「変形性膝関節症」においては、
50代以上で30%、60代以上で約40%もの高い有病率
が東京大学の調査で判明しています。
※出典:東京大学医学部附属病院「生涯歩き続けられる社会を目指して」
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/f_00064.html
特に女性の有病率が多いのは、男性にくらべて女性は筋肉量が少なく、膝関節への負担が大きいことが考えられるほか、ハイヒールなどの踵の高い靴を履く頻度が高いなどの要因が挙げられます。
変形性膝関節症の初期においては、歩く・しゃがむなどの動作の都度、多少痛む程度で我慢もできますが、さらに悪化して中期になりますと正座はもちろん階段の昇り降りが困難になるほど動作が不自由になってしまいます。もちろん、
日常生活にも支障が出ることでそれがストレスとなり
そのストレスによって自律神経が乱れ、様々な疾病リスクが高まることは言うまでもありません。過去記事「▼現代社会のストレスが膝痛の原因?!膝をいたわるストレス緩和法」でもご紹介しているように、膝痛や腰痛がうつ病にまで発展してしまうことも決して珍しくないのです。
動いてなくても鈍痛が続いたり、膝の変形が目立つようになったりするのも中期症状の特徴で、進行分類としてはグレード2となり正式に変形性膝関節症と診断されます。これまでの記事でもご紹介してきたとおり、変形性膝関節症の治療においては
運動による筋力増加や減量といった保存療法がメイン
膝周辺の筋力を高めることで膝関節への負担を減らすこと、そして体重を減らすことで自重の負担を軽減することが治療の第一歩。膝痛がゆえに運動不足になり、
体重増加を招くと結果的に膝への負担が増えてしまう
という悪循環に陥ってしまうところが変形性膝関節症の厄介な点でもあります。
現時点で膝に痛みがなかったとしても、40代以降の体重増加は体の内外共に様々な疾病リスクが高まってしまいますので、特に筋肉量の少ない女性や普段から運動習慣のない方は、体重の増加に留意するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
変形性膝関節症などの膝痛においては、生活の質を低下させるだけでなく、痛みによるストレスから様々な体の変調を来たす恐れのある影響度の大きな疾病です。また、食生活や栄養バランスなど
生活習慣などにも関連性が高く
その対処方法は、単に筋力を強化すれば良いという単純なものではありません。
こうした状況にならないためにも、適度な運動習慣を身につけ、下肢の筋力維持を意識した生活習慣を心掛けるよう、膝関節が健康なうちから意識を高めるようにしましょう。
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