中高年からの下半身筋トレ~膝の負担を減らして膝痛予防
もはや「国民病」とも言える膝痛などの運動器の障害
夏の暑さが本格化している7~8月。
全国的に見ても例年にないほどの酷暑に見舞われ、熱中症予防はもちろんのこと、これまで以上に規則正しい生活習慣や食生活を意識して、しっかりと体調管理を行わないと、すぐに夏バテしてしまいそうな状況であると言えます。
夏の食欲不振や夏バテ予防については、過去記事「▼夏場の食欲不振対策は体を内側から冷やしてくれる野菜を取り入れよう」でも取り上げておりますので、食生活や栄養面での対策は、こちらの記事も併せて参考にしていただければと思いますが、
こうも暑さが厳しいとサボリがちになるのが運動習慣
毎日のように35~40度という気候であれば、誰でも「運動なんてしたくない」と思って当然ですし、逆に熱中症リスクという点も考慮しなければならないので、体を動かす頻度が低下してしまうのも致し方ない部分ではあります。
ところで、適度な運動習慣においては、特に40~50代くらいの世代の意識が高く、ウォーキングやジョギングなどを始められる方が多いのかもしれませんが、そのきっかけについては
・お腹が出て体重が増えてきた
・メタボ判定を受けた
・高血圧や糖尿病など生活習慣病が気になる
といったように、現代の習慣病とも言える動脈硬化や糖尿病、高血圧などの予防がきっかけであることが多い傾向にあります。運動習慣を身につけようとする心がけはとても素晴らしいことではありますが、その先に待ち構えている運動意欲をことごとく削いでいくのが
膝痛を筆頭にした運動器の障害
もちろん個人差はありますので、すべての方に当てはまる訳ではありませんが、特に膝の痛みは、すべての運動習慣に悪影響を及ぼすほか、日常生活にも支障を来す障害ではありますので、適度な運動どころではなくなってしまうのが実情。日本国内においては、
約3,000万人が潜在的な膝痛を抱えている
※出典:厚生労働省「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0701-5a.pdf
と言われており、高齢者においては約6割近くが膝痛を自覚しているような、もはや「国民病」と言っても過言ではありません。さらには、膝の痛みを感じはじめる年齢は40~50代が多いとも言われており、
まさに生活習慣病予防を意識し始めるタイミングと合致する
といった傾向にあります。
今回は、そんな身近な運動器の障害である「膝痛」の予防対策としての心構えと具体的な下半身トレーニングをご紹介。体型的に太っている・痩せているは関係なく、中高年から衰え始める運動機能を維持するためのルーティンを身につけるようにしましょう!
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太ももは太くなるけど・・・習慣的に膝関節を守る筋肉を鍛えよう
皆さんの認識のなかで、老化現象の代表と言えば「老眼」かもしれませんが、老眼と同様に、膝痛においても老化現象の代表と言っても過言ではありません。
でも、どうして中高年になると膝が痛くなるの?
この疑問においては、「▼高齢者の3割超が膝痛に悩み!加齢と膝痛との因果関係」でもご紹介しておりますが、老化による筋肉の柔軟性の低下や筋肉量の減少、そして関節にある軟骨の擦り減りなどが主な原因として挙げられます。
ようは自身の体重を支えきれなくなってくる
とも言えるかもしれませんが、肩や腕など体に複数ある関節のなかでも膝においては、自身の体重を直接支える重要な関節であり、その周辺には大腿四頭筋や前脛骨筋といった
体の中でも一番大きな筋肉で守られている
ことからも分かるように、それだけ体にとっての膝の機能は重要な役割を担っているのです。つまり、中高年からの老化現象によって
1,大腿四頭筋などの筋肉量が減少
2,中年太りなどで体重も増える
3,膝関節への負担が増える
4,膝関節にある軟骨が擦り減る
5,膝に痛みが出始める
といったように、膝痛の代表的な疾病である「変形性膝関節症」の主な原因は、加齢と肥満にあると言えるのです。もちろん、膝軟骨の擦り減り原因においては肥満だけでなく、
若いころから激しいスポーツをしている
といった点も要因となる場合もありますが、そうした方の多くは相対的に大腿四頭筋など下肢の筋肉がしっかりしていることが多いため、やはり筋肉量の減少と肥満が一番大きな原因であると言えます。
つまり、膝痛の根本的な対策は
・体重を増やさないこと
・大腿四頭筋や前脛骨筋といった膝周辺の筋肉を鍛えること
といったことを心掛け、太ももの正面にある大腿四頭筋、太ももの裏を構成する大腿二頭筋や半腱様筋といった通称「ハムストリングス」などを意識的に鍛えることで、膝関節への負担を少しでも軽減させることが重要なのです。
これまで、「適度な運動習慣」の目的の多くは体重のコントロールが中心だったかもしれませんが、これからは
膝関節の保護・サポートという点も主眼においた運動
も取り入れるようにすると良いでしょう。
もちろん、太ももは太くなってしまうかもしれませんが・・・
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歩くこと、エレベーターやエスカレーターを使わない生活習慣を
上述のとおり、40~50代から膝痛に見舞われることが多い背景には、筋肉量の減少と体重の増加が挙げられ、特に女性においては元々筋肉量が少ないため、変形性膝関節症に罹患する割合も圧倒的に女性が多いのが実情です。
そのためにも、下肢筋肉を減らさないための心がけや運動習慣が重要となるわけですが、実際に大腿四頭筋などを鍛えるトレーニングとなりますと、それなりの専門知識や設備が必要となり、習慣化させるのが難しくなってしまいます。
ちなみに太ももの正面にある体のなかで一番大きな大腿四頭筋とは
・大腿直筋
・内側広筋
・中間広筋
・外側広筋
の4つの筋肉で構成されているので大腿四頭筋と呼ばれ、主に膝関節を支える役割を担っています。
また、太ももの裏の筋肉「ハムストリングス」においては
・大腿二頭筋
・半腱様筋
・半膜様筋
で構成され、股関節や膝の動きをサポートしています。
さらには、膝下の「すね」にあたる部分には前脛骨筋(ぜんけいこっきん)という足首の重心をコントロールする筋肉があり、この筋肉が衰えるとつまずきやすくなったりします。これらの下肢筋肉が、膝の動きや関節をサポートしているのです。
長期入院などの経験がある人なら体感したことがあるかもしれませんが、基本的に筋肉は使わなければ衰退・減少してしまいますので、日常生活においても意識的に使ってあげることが大切で、
・ちょっとした距離なら歩く
・エスカレーターを使わずに階段を昇る
・家の中でもリモコンに依存しない
といったことを心掛け、実は家の中でも立ち上がったり、座ったりの動作は下肢筋肉の刺激になるので、「横になったまま動かずにリモコンでテレビやエアコンを操作する」という習慣も、筋肉にとってはあまり良いことではありません。すでに膝痛が出てしまっている場合には、
あまり激しい運動は避ける必要があります
が、膝に負担の掛かりにくい自転車やスクワット、水中ウォーキングや大きな歩幅でのウォーキングなどは、太もも周りの筋肉を刺激してくれるため効果的。必要に応じて、市販の膝サポーターなどを着用して様子を見ながら、少しずつ体を動かすようにすると良いでしょう。
地味なトレーニングかもしれませんが、「空気イス」も膝関節に負荷を掛けず
自宅で手軽に大腿四頭筋を鍛えられるトレーニング
なので、ぜひ試してみてください。
いかがでしたでしょうか?
男女問わず、中高年の方にとって「体重を増やさない」という点は耳の痛い話かもしれませんが、老化により筋肉量が減少し、基礎代謝も低下して太りやすくなるという点も踏まえ、筋肉量を減らさないための運動習慣の大切さが改めて認識できたのではないでしょうか?
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